“ウェブ会議のクスリ”開発秘話 | ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

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“ウェブ会議のクスリ”開発秘話

こんにちは、カレイドソリューションズ学生インターンの越前屋です。

今回は「ウェブ会議のクスリ開発秘話」として、“ウェブ会議のクスリ”の開発に至る経緯や開発中のよもやま話を書きます。

やや長文になるかもしれませんが、学生プロジェクトとして推進した中での学びや気づき、得たノウハウをできる限り詰め込んでいきたいと思います。

なぜウェブ会議のクスリは生まれたか

ゴールドラッシュでは金を掘りに行かず、ジーンズやつるはしを作ろうという話

ウェブ会議のクスリはオンラインでの研修やウェブ会議で、参加者が気軽に意思表示をし、盛り上がれるツールです。

年度末から始まった新型コロナウイルスによる集合や対面でのコミュニケーションの禁止に伴い、これまで当たり前だった集合研修やオフラインでの会議ができなくなり、それらは突然にやむを得ずオンラインで行われることになりました。

オンラインが増えた状況に対してビジネス観点で直接的な働きかけを行おうとしたら、研修会社の場合、「研修のオンライン化」「ゲームのオンライン化」といったものが挙げられるでしょう。代表の高橋によると、これはゴールドラッシュの時に金脈を探しにいくようなアプローチだそうです。そうではなくて、「金鉱掘が流行っているのならジーンズを作ろう」とか「つるはしを作ろう」といったアプローチがあり、それを並行して考えた方が良いという話がありました。ここでいうジーンズやつるはしがまさに「ウェブ会議のクスリ」です。たしかに、私たちがしなくても他の多くの会社がオンライン化を提供しています。それならば、オンラインでの研修や会議そのものをどうこうするのではなく、起きている問題状況を特定してそこで使われるものを作り、解消することもできるのです。

当社が何を解決するか

オンラインでの研修や会議での「あるある」問題状況は、「なんだか盛り上がりに欠ける感じ」や「コミュニケーションがうまく取れない感じ」ではないでしょうか。
ある程度の大人数での実施の場合、通信(回線?)や雑音が入ることの防止等の都合から、カメラはオンにして、話者のみがマイクをオンに、それ以外の参加者はミュートにするのが通例です。

多くの皆さんがウェブ会議やウェブセミナーを体験されて感じていると思いますが、このやり方では参加者は傍観者になりがちです。積極的な参加者であればカメラに向かって頷くなどで同意を示す場合もあるが、これは話者に届いているかわからず、対面での対話での相槌のようには機能しません。かといって、「そうなんですね!」「へえ!」といった相槌はミュートを解除してするほどのことでもないと考えるのが普通でしょう。このため、話者は一方的に話し続けることになり、従来の会議や研修と比べて盛り上がりに欠けると感じることも多々あるのではないでしょうか。

「ウェブ会議のクスリ」は主に学生インターンチームで開発されました。私たち学生は、大学や大学院で授業を受けており、そのほとんどがオンラインで実施されています。ウェブ会議システムを使用した授業も多いが、従来の教室で自由に発言できる環境とは異なり、ミュートを解除するという一手間に心理的負荷を感じる学生が多く、議論もやや活発性に欠けるのが現状です。

ネーミングの秘密

そこで当社としては、研修や会議をオンラインでも、これまでと同じように効果の高いものにできないかと考え、参加者の意思表示への負担とそれによる会の盛り上がり不足を解消するべく、「ウェブ会議のクスリ」を開発した。ウェブ会議を「クスッ」「クスリ」と楽しめるようにとの思いが込められています。

ちなみに、ネーミングは、当社代表高橋の案です。「諧謔」という単語から着想したらしい。私は恥ずかしながら、「かいぎゃく」という単語を初めて聞いたので、意味を調べてみると「面白さと共感がまざりあった状況を描写する言葉または動作による表現」とあった。かいぎゃく、かいぎやく、会議・薬、薬=クスリといった連想から「(現状の問題点への)薬」「クスリ(と笑う)」をかけられて決まったこの名前に感動しました。

開発の苦労

前述の通り、「ウェブ会議のクスリ」は学生インターンメンバーを中心に開発されました。ほとんどのメンバーが本格的に開発に携わるのが初めてだったため、開発中のできごとの数々が発見でした。今回は、その一部を書いていこうと思います。

カード文言や内容のこだわり

まずはどんなカードを何枚セットでつくるのかという議論があります。
枚数については、盛り込みたい内容はいくつもあるものの、カードが多すぎてはパッと選ぶことができないため、適切な枚数を設定する必要があります。今回は、意思表示カード13枚+カードセットや用例がわかるカード2枚を基本の構成とし、さらに、開発中の枚数制限から泣く泣く削った意思表示カード2枚を早期特典としてプロモーションカードとしました。用例がわかるカード2枚は、カードだけでは使い方がわからないユーザーがいることを考え、用例が一覧できるようにしたためです。

内容を発案する段階では、具体的にどのような場面で使うかを想定し、それは価値があるのかを検討することでカード1枚1枚の質を考えることになりました。この場面の想定は、前述の用例にそのまま活きています。

カード文言のこだわりとして、「Iメッセージ」があります。今回のカードの1枚に「聞こえません」というものがある。相手のマイクがミュートになっていたり、電波が悪かったり、PCの設定がなされていない等の理由から音声が届いていないことを伝えることを意図してつくられたものです。これは「ミュートされています」でもよいのではという議論がありました。なぜ「聞こえません」としたかというと、使用者の心理的負荷をより軽減するように、Iメッセージを採用したためだ。「(あなたは)ミュートされています」「(あなたは)カメラがオフになっています」といった「Youメッセージ」は一見するとわかりやすいですが、「あなたはこうだ」という表現であるために、普段から婉曲な表現を好む日本人には使いづらいとされています。そこで、ウェブ会議のクスリカードでは、あなたではなく私を主語とするIメッセージに統一しています。お手元にある方は全てがIメッセージで揃っているのをご覧いただけると嬉しいです。

また、カード内容のこだわりとして、当社の意思表示カードは感情の意思表示ができることがあります。なぜ感情に注目したのかというと、先の述べたようなオンラインでの問題を解消するために「クスッ」とできるような盛り上げるカードが必要だと思ったからだ。「聞こえない」といった状況を伝えるカードのみにとどまらず、「(笑)」「(拍手)」などオンラインで不足しがちな感情表現や盛り上げる相槌のようなものを追加し、どうしても使わなければいけないという場面以外でもどんどん積極的に会議に関与できるようになっています。

カードデザインのこだわり

デザインではまず、色について変遷がありました。最も困難だったのが、仮想背景対応です。最初の素案では、色相環というのを意識してテストカードを作りましたが、実験したところ、仮想背景の白色部分がとけこんでしまうことがわかり、白色を使わない決定をしてデザインをしていきました。さらに、その後グリーンバックを使用した仮想背景では緑系の色がすべて透けてしまうことも分かりました。そのため、緑を廃止し、再び色変更を行い、更には、表裏で配色を変えることで、家庭の背景による困難の解消にも取り組むなど、地道なテストを続けました。机上ではうまくいくと思っていたことも、実際にやってみるとうまく行かないこともあり、開発にはテストが欠かせないということが身に染みてわかることになりました。

また、個人的には、アイコンデザインに関しても学びがありました。当初「聞こえない」「見えない」のアイコンを「耳に×」「目に×」としていたが、これは配慮に欠けるデザインであるという指摘を受けました。商品化するにあたっては、様々な方面への配慮が不可欠で、受け手が不快に感じないように幅広い視野を持つ必要があり、その視点は開発を通して養うのだと学びました。

フィードバックから学んだこと

上記の議論を経て、学生間でカード内容を仮決定したのちに、フィードバックを受け、ワーディングやラベリングに修正が入りました。ここでは抽象化・階層化・平仄合わせといった考え方登場し、どんどん言葉の粒が揃っていきました。「ウェブ会議のクスリ」では数枚ごとにグルーピングし、グループごとに色を分けラベルをつけています。たとえば、「時間が…」というカードがありましたが、そのカードはラベルが当初とは異なり、「状況」へと移動され、平仄を合わせるために「時間がない」という文言になり、「状況」のグループでは「聞こえない」「見えない」「時間がない」として統一されました。

また、「電波が悪いです」というカードもあったが、「so what」の問いの結果、電波が悪いから聞こえないのだということで、「聞こえません」といったカードに集約されることがわかり、なくなりました。たかがカード10数枚と思われるかもしれませんが、ものごとを系統立てることが重要です。そのためにロジカルシンキングは必須のスキルであるとわかりました。

ユーザー目線でのプラスアルファを

実は「ウェブ会議のクスリ」はスマホで表示させて使うことができます。これも他社の類似製品にはない特徴かと思います。データをスマホで見せられれば、スマホを使いたい場合にも対応できると意見が高橋からありました。ユーザー目線でたしかに役に立ちそうなエイドであるし、開発の段階でこのような発案の余地があることを認識したできごとでした。また、今回のカードは裏表が同じ内容で違うデザインとなっていますが、環境によって、どちらの配色を使うかは決まっていますし、裏表があると枚数が倍になってしまい、パッと選べません。こうした配慮から、裏表で別々にしてます。

ほかにも、ちょっとした工夫として、自宅で使用することを想定して耐久性を持たせるためのクリアPP加工や、使用時に角がチクチクして痛いことを避けるための角R加工を施しています。当社のゲーム研修のツールも基本的にこれらの加工がなされていて、ユーザー目線の設計なんだなと思いました。

さいごに

ウェブ会議のクスリ15枚を完成させるまでに、学びは数えきれないほどあり、特に印象的だったのは、徹底的にユーザー目線で考えることと、最後の最後まで質を上げるために努力し続けることです。ここに書いたのはその中でも学びの中でも特に印象的だった一部に過ぎません。本ツールは、ロジカルコミュニケーションやロジカルシンキングといった様々な研修やゲーム研修を開発し、提供してきた当社だからこそ作れた、こだわりの「つるはしツール」になったと思っています。多くの方のもとに届いたらうれしく思います。

“ウェブ会議のクスリ”の詳細/注文はこちらから
https://www.kaleidosolutions.com/news/2020/08/002/kaigi_kusuri

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