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できないことをできるようにしたい!「発達の最近接領域」を活かした研修・学習とは?

こんにちは、インターンの小川功毅です。

私はカレイドでのインターンの傍ら、大学では幸福学の研究をしており、人はいかに幸せを学びうるのかという観点で「学び」について学んだことがあります。
今回のコラムでは、その際に出会った「発達の最近接領域」について取り扱わせていただこうと思います。
発達の最近接領域とは、Zone of Proximal Development(ZPD)の訳で、心理学者ヴィゴツキー(Vygotsky)が唱えた教育・学習の概念です。

それではさっそく、心理学者ヴィゴツキーが唱えた「発達の最近接領域」をご紹介していきながら、この知見を活かした効果的な研修・学習の在り方についても考えていくことにします。
初めてのコラムなので緊張しますが、楽しく書こうと思います!

「発達の最近接領域」とは?

誰かの協力があれば達成できること

何かを学ぼうとする上で「一人でできること」だけをやっていても、できて当然のことなので、成長することはできません。
逆に、「できないこと」は無限にあるため、どこから手を付けてよいのかわからなかったり、どう頑張ってもできなかったりし、学ぶことが難しいときがあります。
そこで、自分一人ではできないものの、誰かの協力があればできそうなことから学んでいくことで、教わりながら効率よく学んでいくことができます。

この「自力では難しいが、他者の助けがあればできること」こそが「発達の最近接領域」です。

自分の限界を超えた成果を体験する

もともとヴィゴツキーは、子どもの発達は、その子どもを取り巻く関係性によって決まる、ということを示唆しました。
自分よりもレベルの高い人に手伝ってもらうことで、自分の限界を超えた成果を体験し、学ぶことができるのです。

教育者(開発者)の目線で考える

①学習者の「発達の最近接領域」を見極める

「発達の最近接領域」は、学習者の効果的な学びのための概念です。
そのため、効果的な研修を開発するためには、学習者の「発達の最近接領域」を見極めることが必要不可欠となります。
学習者に対して、簡単な既知の内容をただ確認したり、難しすぎてあまり理解されない内容を教え込んだりするのではなく、「自力では難しいが、他者の助けがあればできること」を狙った研修を組むのです。
そのためには、日ごろの振る舞いやヒアリングなどから、学習者について的確に理解することが必要になります。

②体験を通じて学習者の達成や体得を助ける

そして、研修対象者の「発達の最近接領域」での学びを助けるための研修をつくっていくのですが、このときに大切なのは、他者の助けに支えられながら学習者自身が達成する、ということです。
ただ単にその内容について伝達すればよいのではなく、学習者が達成したり、体得したりすることを助けなければならないのです。このように考えると、必然的に体験型研修の方が学習者の達成や体得を直接的に助けやすい、ということになるかもしれません。

学習者の目線で考える

③自らの「発達の最近接領域」を把握する

また、学習者は自らの「発達の最近接領域」を理解することで、自分の学びうる範囲を把握し、効率的に学習・成長していくことができます。
そのためには、自分はどこまでだったら一人で行うことができ、先輩の協力があれば達成できる領域はどこなのか、日ごろから考えておくとよいかもしれません。

④達成や学習を支えてくれる協力者の存在

また、何かを達成したり、学んだりすることを支えてくれるような協力者の存在が、「発達の最近接領域」での学びを支えてくれます。
そして、より良い協力者をまわりに見出すことができれば、自らの「発達の最近接領域」は広がっていきます。それは、「自力では難しいが、他者の助けがあればできること」という定義に戻ると、他者の助けが厚ければ厚いほど、達成できる領域も広がっていくためです。
そのため、自分の達成や学習を支えてくれる協力者も大切なのです。

まとめ

これまでみてきたように、教育者(開発者)は、学習者の「発達の最近接領域」を理解し、体験を通じて成果を達成することで、自分一人では難しかった内容のことを体得してもらうことができます。
また、学習者は、自らの「発達の最近接領域」を理解することと、より良い協力者を持つことによって、効率的に学習・成長していくことができるのです。

私もこれからドンドコ成長していくために、自分の「発達の最近接領域」を開発していきたいと思います!

お読みくださった皆様の、研修や学習に対する発想の素材になれば幸いです。

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