ビジネスゲーム研修で企業内人材育成の内製化を支援 | カレイドソリューションズ - マインドセットが変化する中での教えない学習-短時間経営シミュレーションの開発背景(3)

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マインドセットが変化する中での教えない学習-短時間経営シミュレーションの開発背景(3)

教えない学習とはなにか?

参加者によって学習内容や気付きが異なることが事前に想定される際には、「社会構成主義」は有効な考え方だ。雑な説明となるが、社会構成主義では、誰が見ても同じ真理や事実は存在しない と考える。なので、各自が主観的に認知している内容をすり合わせ、その場(社会的)で合意がとれれば良いと考えるものである。講師が予め講義内容を考えておくのではなく、参加者がそのレベルに応じて気づいたことや学習したことを取りまとめ、それに講師がフィードバックを与えるだけなのである。そう考えると気が楽になるだろう。

社会構成主義は、講師が知識を与えるのとは全く異なり、講師が「正解を教授する」し、頭に知識を流し込む導管型の考え方 ではない。このため、登壇者には講義が必須と考える方は当惑するかもしれない。参加者も「正解がない」ことに当惑することがある。「正解がないので各自が考えること」は研修の冒頭で言った方が良い。経営シミュレーションは、研修よりもファシリテーターによるワークショップに近いのだ。

じわり増加する「こちこちマインドセット」

私は、2007年から2011年くらいまでは、経営シミュレーションと社会構成主義にかなり傾倒していた。当社の主だった経営シミュレーションを開発したのはこの時期だ。しかし、昨今のプロダクトをご覧いただくと毛色が違うことにお気づきになるかもしれない。それには2011年の震災から2014年位までに対話した方々の物事の捉え方が関係している。具体的には以下のようなものだ。

「良くない事実があったとしても、それはそのままに受け止める(事実は変えられない)。解釈を変えよう。そして、それを他者に共感してもらうことで自分を保とう。」

この考え方は、キャロル・デュエックがいう「こちこちマインドセット」と「しなやかマインドセット 」の概念の「こちこちマインドセット」に近いように感じる。こちこちマインドセットとは、事実は変えられず、それを変えようという努力は無駄であるので、捉え方を変えることで対応するものである。なので、事実を変える努力を避け、解釈でなんとかしようとする。努力しても結果が変わらないのだから努力するほどに無能さを露呈すると考える。よく出る発言としては、「○○さんはそう考えるんですね」だ。

一方、しなやかマインドセットは、自分が働きかけることで物事は変わることがあり、働きかけない限り物事は変わらないという考え方である。こちこちマインドセットは、有事の際のストレスコーピングに有効なのだが、平時にはしなやかマインドセットが推奨される 。私見だが、2011年の震災から2014年位までにこちこちマインドセットが増えたように思う。日本にとってそれだけ有事だったのだろう。

話を元に戻そう。「やってもらって参加者に考えてもらう」という社会構成主義のアプローチでの研修で、「こちこち」発言が増えた。例えば、「私は負けたけど、サイコロの目は天命なので、運が悪かったものとして受け止めます。学びは運には逆らえないことでした。」「対話できたので、それで良いです。」などがある。これでは時間投資をした意味がない。「こちこち」の人たちは自分を変える意識が希薄なので、「どうすれば勝てたのか」という考え方にならない。有名な「空・雨・傘」のフレームワークでいうと、空・雨までを考え、「そういう見方もあるのかー、勉強になった」という考え方をして、傘、つまり行動に落とし込まない。また、出来事の原因を解決可能なものではなく、「制約条件(解決できないもの)」に設定しがちである。天災や地理的制約、法律などは変えられない。変えられないものに対しては見方を変えるしかないからだ。なので、「勝ちにこだわる・傍観者にならない」ことを強めにいうことは、研修設計では重要になる。

「しなやか」減少社会でのファシリテーションのあり方

稼働はかかるが、パラダイスのファシリテートをする際は3つのお願いをしたい。

まずは、その研修のテーマを設定し、その場面(セッション)で「何を考えるべきか」の「問い」を予め考えることである。私は過去に「意思決定」「交渉」「働きかけ」などをテーマに実施した。テーマと問いの設定が行動を意識することに繋がる。これらの設定・検討が重要なのは、ただゲームをやって振り返ろうとしても、意識的な行動でなければ振り返れず、マインドセットに引っ張られてしまうからだ。このため、参加者に思考や発見の「ログ」を取ることを促すとよい。

次に、そのテーマについての「講師としての正解」を用意しておくことだ。上述の通り、ワークショップ形式であれば、答えは参加者が持っているので、正解はそれぞれでよい。ただし、研修は多くの場合、「意図」を実現するための「意図的学習」である。よって、意図しない結果になったが学べていたからよいという「偶発的学習」はNGである。このため、講師が考えてほしかったこと、気づいてほしかったことは予め整理しておいてほしい。スライドを作る必要はないが、やらせて終わりとしてはいけない。もちろん、そのリソースを当方から提供することもできなくはないが、「経営シミュレーション」の場合、各社が教えたいことはまちまちである。このため、あえて正解を示さずにまずは考えてほしいと思う。

最後に、テーマに応じて、行動(傘)につながるようなワークシートを用意することだ。ここについては作り方には様々なものがある。ゲームで起こったことと現実でも起こっていることの読み替えをする。そして、阻害要因(行動で変えられるもの)と解決策(行動)を書ける欄を作ると良い。

稀に、経営シミュレーションの「答え」「解釈」を過剰に要求する参加者がいる。こうした参加者には対応できるようにしておくと良い。

短時間経営シミュレーションの開発背景(1)

短時間経営シミュレーションの開発背景(2)

短時間経営シミュレーションの開発背景(4)

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