短時間経営シミュレーションの開発背景(1) | ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

お問い合わせはこちら

代表コラム

COLUMN

短時間経営シミュレーションの開発背景(1)

パラダイス-ショートステイ-(以下、ショートステイ)は、当社のレンタル型コンテンツ、パラダイス(以下、オリジナル※両者を包含する場合は「パラダイス」と表記)の短時間化した経営シミュレーションである。オリジナルは当社では、定番コンテンツの一つで、「ずっとも」に既存のレンタルラインナップの別バージョンを入れるのは初である。

パラダイスはルールに意図的に曖昧さを残したやや特殊なゲームである。ゲームのルールは決まっているものという固定観念へのアンチテーゼだ。ルールの曖昧さがパラダイス全体の妙味となっており、ファンが多い理由でもある。

「パラダイス」とは何か

オリジナルをご存じない方も多いと思うので、簡単にご紹介しよう。

オリジナルは、2009年にとある採用の媒体を運営する会社から依頼を受け、採用選考における優秀層の選抜を目的に開発された。優秀層の選抜では、「考えること」「自分から働きかけること」の顕在化が重視された。

しかし、採用選考でのゲームは、30分程度というニーズが多い一方、ルール説明とゲーム1回で2時間弱かかるため、開発したものの利用できる企業がなかった。その後、用途を模索する形で、東京大学の福武ホールでのイベント「Game×Learning×Job」「交渉チカラ試し」などでの利用を経て、「研修」に用途を限定した形でデザインやパラメータを刷新し、独占販売権等を当社に引き上げ、当社のブランドで再度発売した。

グローバル人材育成は一過性のものだった

当初は交渉を打ち出すつもりだったが、2012年3月に発売に向けて動いていた当時は「グローバル人材」がバズワードで、英語やダイバーシティの重要性が叫ばれていた。英語力とダイバーシティだけでグローバル人材になれるのであれば、英語圏に生まれた大半の人が活躍できることになってしまう。英語やダイバーシティは必要条件であって十分条件ではない。自身が英語教育の場に身をおいた経験から英語力やダイバーシティでグローバルを勝ち抜けるという言説は正しくないという持論があった。

グローバル人材に求められる要件は、経団連の提言内での調査では第一位が「既成概念に捉われず、チャレンジ精神を持ち続けること」 だった。英語力でもダイバーシティでもない。オリジナルは、まさに「既成概念に捉われず、チャレンジ精神を持ち続けること」と重なる。このため、交渉ではなくグローバル人材育成のマスターピースになりうると考え、グローバル人材を打ち出した。ところが、グローバル人材ブームは一過性のもので、グローバル人材とは異なる用途で、コア人材や次世代リーダーコースなどで密やかに愛好されているのがオリジナルだった。

経営シミュレーションにも迫る短時間化の波

オリジナルの背景を説明したところで、ショートステイを作った理由を説明したい。これを作った理由は2つある。1つは、経営シミュレーションの短時間化にニーズがあることだ。また、もう1つは「態度変容」とその前提にある「知覚」や「認知」に関する研修への潜在的なニーズがあると感じられることだ。

まずは、「経営シミュレーションの短時間化」を説明したい。当社では、ビジネスゲームを3カテゴリにわけ、1カテゴリを「経営シミュレーション」としている。ビジネスゲームとは経営シミュレーションのことだと思っている方も多いほど、最も典型的なものだが、「ずっとも」シリーズでは入れていなかった。

というのも、本格的な経営シミュレーションの実施にはかなりの長時間を要する。他社の経営シミュレーションの中には、2-3日間かけるものもあるという。当社の経営シミュレーションは1日が標準なので、以前は、1日でできることを驚かれたものだ。経営シミュレーションは、わずか1-2日で本来であれば数年かかる活動を凝縮して経験でき、学習効果が高いが、元来の用途の幅広さと相まって、短時間化が進む昨今では提案しにくくなっている。

半日以下の経営シミュレーションの実施依頼を受けることがあるが、ほぼお断りしている。ただ、その依頼が消えるわけではない。一部の業者が提供する「研修まがい」のゲーム研修が受け皿になってしまっている。簡単にいうと、例えばPDCAのようにどんなゲームにも含まれる要素を学べると言って、ボードゲームをするだけの研修(?)であったり、伝統的交渉ゲームの亜種だったりと様々だが、ゲーム研修の価値がエンタメツールによって毀損されていると感じる。当社は、ゲームを使った学習の分野の先駆的プレイヤーという自負がある。このため、この分野の価値を毀損せずに維持する役割があると考えており、短時間で学べる経営シミュレーションをリリースしたいという想いが強かった。

「経営シミュレーションの短時間化」を実現するために、オリジナルのショートバージョンとしてショートステイを発売することにした。リスクのある環境下における投資意思決定を学ぶ教材として価値を提供できると思う。

短時間経営シミュレーションの開発背景(2)

短時間経営シミュレーションの開発背景(3)

短時間経営シミュレーションの開発背景(4)

人気のコラムBEST5

コラム カテゴリー別

コラム 年別アーカイブ