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ゲーム研修運営の超基礎(後)~研修当日~

山田秋です。
前回に引き続き、今回もゲーム研修の運営方法についてお話していきます。
今回は、ゲーム研修当日の動きについて説明していきます。
研修当日の流れは、導入等の講義部分、ゲーム部分(ルール説明・ゲーム)、振り返り部分に分かれます。

導入

ゲーム研修の導入で大切なポイントには3点あります。

1点目は、事前に主題について考え、問題意識を持ってから参加してもらい、問題意識をリマインドすることです。以下のコラムでは、研修が始まる前に、気づけるかどうかが決まっているということを書いています。

2点目は、「ゲーム研修は教えてもらう場ではなく、気づく場所である」と伝えることです。それに加えて、「この場において自分は発言していいんだ」という心理的安全性を感じてもらう工夫が必要です。

それでは、なぜ「気づく場所である」と伝えるのでしょう。それは、ゲーム研修の学習効果は、「自分が主体的に学ぶこと」によって得られ、その始点が「気づくこと」だからです。「教えてもらう」スタンスで研修に参加すると、「教われなかった」と感じてしまうことがあります。あとになってから、気づいたことをアウトプットしようとしても、普通は思い出せなくなっています。

3点目は、研修準備で設定した目的と目標をセッションごとに提示することです。気づきには様々なものがあり、それぞれ大切なものですが、全く関係のない気づきばかりがでてくるのではよろしくありません。ある程度、学びをコントロールするために、目的・目標は示して置く必要があります。

次に、ゲームについて説明します。

ゲーム

ゲームは次の4つのフェーズに分かれています。

  1. ルール説明
  2. 練習
  3. 本番
  4. リフレクション

ルール説明

まず、ルール説明の時は、スライドを作り込み過ぎないことと、手を動かさせることが大切です。スライドを作りこんでいると、後でスライドを見ればいいやという気持ちが働き、意外と聞いてくれなくなったりするので要注意です。ルール説明を一度聞いて全て理解できることはまれです。ほぼ伝わらないと考え、手を動かさせ、身体知として理解してもらうことが有効です。

練習

次に、練習です。

ゲームのルールは複雑で、ときにルールの中に本質を盛り込んでいますので、意図するところなどがわからず「なんのためのルール?」となってしまうこともあります。理解を深めるために、手を動かさせたりするのが重要です。

頭で理解できていたつもりでも、手を動かすとわかっていないことがわかることがあります。この際に重要なのが、参加者が自分で疑問を解消していくことです。ルール理解の過程そのものが、主体的学習の場になっているわけです。

学びの場面で講師が答えを教えないことはとても重要です。仕事のマネジメントにも通じるところがありますが、講師が答えを教えると、「全部聞けばいい」、「指示に従えばいい」という姿勢になってしまいます。

では、講師はどう関われば良いのでしょうか。重要なのは、自分を観察者と位置づけることです。傍観者ではなく観察者です。はじめは慎重に観察します。ルールがわかっていない人はわかりやすく不安げな顔をしています。手をあげて質問してくれるわけではないから表情を観察して声をかけましょう。ときには介入も必要です。「ゲーム」には好みがあります。批評する人も出ないとは限りません。そういう人には「批評する場ではなく、参加する場です」とアサーティブに伝えましょう。

本番

次に、ゲーム中の注意点です。

ゲーム研修の特徴は「場」です。ゲーム研修は知識付与ではなく、学びの場なので、参加者が考えるべき場面で講師が答えを教えると、全部聞けばいいやという姿勢になってしまいます。繰り返しになりますが、コツは観察者になることです。困っていると、親切心からつい教えてあげたくなりますが、それは学びの場を奪っていると考え、じっと我慢します。
ただ、何もせずに見ているのではありません。机間巡視をして、良いことを言っている人がいたらログをとりましょう。ほかの参加者の声が気づきとなって学習効果を深められるチャンスです。こうした積み重ねが蓄積されると、パターンができあがって、ラップアップで講師が締めるポイントが見つかります。

リフレクション

リフレクションについては、一般の研修とさほど変わりませんが、3点だけ注意点があります。

1点目は、もやもやを許容することです。
講師が最後に答えを教えると満足度が下がってしまい、自分の気づきが無意味に感じられてしまいます。これは、暗に「あなたの気付きよりも講師の正解を覚えてね」というメッセージを発信することに繋がります。自分の気づきがあっても忘れてよいという気持ちになってしまいます。

ゲーム研修では、「もやもや」が歓迎されます。「落とし込み」といった自己満足は捨てた方が良く、みんなで考えてもやもやしていくものです。それを忘れないでください。

極論すると、答えを書いた振り返りスライドなら予め用意する必要はありません。振り返る方法だけ決めておけば十分です。教えるならゲームをやる意味がありません。講義型で十分です。

2点目にネタバレを防ぐことです。
ときには、ゲーム研修にはネタバレを伴うことがあります。ネタバレが推奨されない研修の場合は、「口外しないでください」と最後に言うことも必要です。

最後に、振り返りシートを書くときに一番気をつけてほしいのが、書き終えたら止めないことです。良質なアウトプットが出るのは、手が止まった後です。はじめは、参加者は目的・目標や内容から書きやすいものや期待されていそうなことを書いていますが、本当に価値あるアウトプットは、手が止まってからの5分間で出てきます。研修の最後は時間が押していることも多いですが、この5分間をきちんと設けることがとても大切です。

さて、いかがでしたでしょうか。セミナーでは、その他にも、ピークエンド効果、フロー理論、リフレクションインアクション、魔法円といった様々な概念を紹介しましたが、できる限り削いで書かせていただきました。

ナラティブに学ぶこと

ピークエンド効果を研修で使う

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