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雑談をテーマにしたビジネスゲーム研修の開発背景(後)

雑談力強化ツール「雑技談」

雑談の学習範囲をどう定めるか

さて、では雑談とは一体なんなのだろう。例えば、上司が部下に事実確認をする、曖昧な言葉の明確化のための質問をするのは雑談なのだろうか。前述の通り、コミュニケーションは多くの場合、何らかの目的を達成するための手段である。しかし、それらの中において雑談はそれ自体が目的となるという点で特異な存在である。よって、事実確認や明確化は目的を達成するコミュニケーションのため、雑談とはいえない。

また、何ができたら雑談ができたといえるか。汎用的に言える話だが、研修をデザインする際には、到達水準の設定が重要になる。そして、物事を考える際には、幅の広さと深さのフレームワークが有用である。
雑談では、上述の通り、コミュニケーションの継続が目的だ。なので、そこに到達することがゴールとなる。では、そのゴール到達には何が必要だろうか。それを幅の広さと深さのフレームワークで考えると、幅の広さとは、話題の豊富さ、つまり手を変え品を変え、雑談が継続できることになる。
また、深さとは、一つの話題を深掘りし、雑談が継続できることになる。これが関係を深めることにつながる。
つまり、雑談上達のスキルセットは、幅広い話題を身につけること、関係を深める技を習得することの2つになるだろう。

”上げる”と”下げない”の観点で考える

さて、雑談を上手に行うには前述の2点が重要である。これも私がよく使うフレームワークになるのだが、成果を出すためには、”上げる”と”下げない”のフレームワークでものを見ることが有効だ。例えば、貯金や利益で考えてみよう。貯金するためには、収入を増やしつつ、節約することが必要だし、利益をだすためには収益を増やして費用を下げる必要がある。他にも、メンタルヘルスの分野では、やる気を上げる行動を取りつつ、やる気を下げる要素を減らすことが必要だ。(余談だが、当社のモチベーションマジックは、このコンセプトで「下げない」に注目して開発された。)

では、雑談に適用するとどうなるだろうか。雑談では、続けることには前述の2点が重要だったが、中断させてしまう、すなわち相手が忌避する話題を避けることも重要になる。話題には、バックグラウンドや背景を同じくする友人間では通用しても、そうでない間柄では避けるべき地雷がある。これを誤って発信することを慣用的な表現で「地雷を踏む」と言うが、地雷を踏まない方法も”下げない”ためには学ぶ必要がある。

雑談は続けることが難しい

雑技談は、雑談の幅と深さ、上げると下げないを意識したのは、書いた通りである。

実際に活用してみて感じる点は、雑談の幅、すなわち話題の多さは知識領域であり、覚えてしまえば活用しやすい一方、相槌や掘り下げなど「傾聴」に属することは知識というよりもスキルに属する点だ。幅と深さという観点から、深めるために相槌の内容も入れ込んではあるが、「傾聴」については実は奥が深い。

当社では、傾聴は以下のように整理している。

  1. あいづち  :あいづちをうつ
  2. 内容の反復 :相手の発言を繰り返す
  3. 内容の要約 :相手の発言を要約する
  4. 感情の反射 :相手が感じたことを繰り返す
  5. 感情の明確化:相手が感じたことを明確化する

ここについては、ゲームの反復訓練を活かした特化型のツール開発が求められるように思う。

また、雑談で話題が複数にわたる場合に、つなげることが課題になることがある。この点については、話題と話題をつなぐ接点作りが必要となるが、雑技談は幅と深さを学習領域としているため、現時点では接点作りについてはカバーしきれていない。このため、多くの研修参加者が話題が五月雨になる傾向があり、ここを補うツールも必要かと思っている。ずっともは、1時間という制約の中で最大限の効果を発揮することをゴールに最小機能で作り込みを行っているが、満たしきれないことは、半日から1日で提供している当社の既存事業などでカバーしていきたいと思っている。

今回は、雑談に関するコラムの最終回となる。ここまでのコラムは、開発するにあたっての背景情報を当社のデザイナーズノートの全三章のうち、第一章から引用させていただいた。ネットという形式上、脚注などはすべて割愛させていただいたため、用語等についてはわかりにくい点もあったかもしれない。この点についてはお詫びさせていただきたい。また、現時点で第二章となるゲームデザイン部分については、無料公開の予定はなく、第三章は物品がなければコラムを読んでいただいてもわからないため、本コラムでは掲載されることはない点はお断りしたい。

雑談力強化ツール"雑技談"

傾聴姿勢学習ツール”聴衆力”

リアクション強化ツール”リア王”

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