入社から半年が経ち、商談経験を重ねるなかで、改めて実感している「ソリューション営業」の難しさについて綴りたい。
半年経っても立ちはだかる壁
入社から半年が経った。業務の流れやツールの使い方には慣れ、打ち合わせ前の準備や資料作成、社内調整も一定の流れやリズムが掴めるようになってきた。一方で、慣れてきた今だからこそ、改めて突きつけられる難しさがある。それは、「ソリューション営業における適切な問いかけとは何か」だ。実はこの点については、入社して1か月目の時点でも感じていた。当時のコラムでは、前職との違いに戸惑いながらも、*「お客様の問い合わせの背景を徹底的に掘り下げ、潜在ニーズを掘り起こし最適なソリューションを提供できるようになりたい」*と記していた(1か月目のコラムはこちら)。半年間が経過し、改めて感じるのはいかに潜在ニーズ を掘り起こすことが難しいことかということである。実際の体験談をもとに紐解いていく。
「提案する」とは、どういうことか?
よくお客様から「若手のコミュニケーション力を高めたい」とご相談を受けることがある。ゲーム研修をご契約いただくことをゴールとすれば、弊社にある既存の“コミュニケーション研修”をいくつかご紹介してどれが良さそうかと選択肢を絞っていくと良さそうである。しかしソリューション営業において目指すべきゴールは、ご契約をいただくことではない。求められるのは、研修を受ける前後で参加者に変化(成長)が起きている状態になっていることである。
そこでまずは、お客様が指している「若手のコミュニケーション力」の解像度をできるだけすり合わせ、現状と理想について共通認識を持つことから始まる。共通認識を持つにはとにかく質問を通して情報を深堀していくしかない。
・コミュニケーション力とは具体的にどんなことを指しているのか?
・現在若手の方はどのような状態なのか?
・その状態の原因は何が考えられるのか?
・その状態を解決することで会社/組織としてどのようになってほしいのか?
・その状態が解決することで会社/組織にとってどのような利点があるのか? など
いくつもの問いを繰り返す中で、本当に解決すべき課題と目指すべきゴールのイメージをすり合わせていくのである。そしてそれは、想像していた以上に難しい。
問いの力と、信頼の距離
ソリューション営業では、このように「問いを立てる力 」が求められる。ただ、その問いが鋭すぎれば、お客様は身構えてしまう。信頼関係ができていない段階で本質に切り込むのは、時に失礼にもなりかねない。例えば、初回の面談でいきなりハラスメント研修のご相談に対し、組織風土や体制に問題があるのではと考え、ズケズケと質問をしてしまうと研修を依頼する以前に信頼関係を築くのが難しくなってしまったりする。
一方で問いが足りないと、お客様と課題やゴールがきちんと握れず満足度の高い研修設計ができない。だからこそ、「どんな問いを、どのタイミングで、どんな順序で投げかけるか」が非常に重要になる。
問い続ける中で少しずつ成長していく
完璧な問いの立て方や、誰にでも通用する進め方はない。自分の立場、相手の立場、関係性、お互いの状況や雰囲気をその場で見極めることが求められる。それでも、お客様の言葉の奥にある本当の思いや課題を探り続けること。その姿勢こそが、今の自分が実践すべき“営業”なのだと感じている。
入社1か月目に書いた「ソリューション営業をがんばりたい」という思いは、今でも変わっていない。ただ、その“がんばる”の中身は、当初の想像を遥かに超えて、複雑で奥深いものだった。半年経った今、自分はようやく「その難しさを自覚できた」ところにいる。
あとがき
このコラムについて代表高橋より以下のフィードバックをもらいました。コラムを書くにも知識やスキルが必要なのだということもひしひしと感じております・・・。
◆半年経っても立ちはだかる壁
~潜在ニーズの定義がずれているかもしれない~
「潜在ニーズとは顕在化していない状態なので、『コミュニケーション』というテーマが定まっていたら既に顕在ニーズと言える。本コラムで記載していることは、顕在ニーズの深掘りや解像度を高める、明確化・分析といった表現がふさわしいと思います。」
◆「提案する」とは、どういうことか?
~ソリューション営業と提案営業~
「記載している”ソリューション営業で目指すべきゴール”は、提案営業のゴールに近いように思います。つまり提案営業を行う際のゴールとして整理するとよいと思います。」
◆問いの力と、信頼の距離
~問いを立てる力~
「上述の”問い”は、『明確化レベル』の問いが中心になっているように見えます。顕在化したニーズをより明確にする問いをソリューションの問いとして書いている印象なので、その点を意識するとよいと思います。」
~具体例~
「急激に人間関係の話に移っていく点や、問いのリストと『本質』との距離がやや遠いように感じます。言葉の選び方を工夫するとよりよくなると思います。」
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カテゴリー: メンバーコラム
公開日: 2025年9月18日