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最近の若手の傾向に合わせてゲームのルール変更の必要性が出た話

「承認」のコミュニケーションゲーム「トナリノココロ」

最近、特にコロナ禍を経て、若手の傾向が大きく変わったといったことが聞かれるようになりました。私の持論は、「人間はそんなに迅速には変化しない」なので、何らかの環境の変化が傾向に影響を及ぼしていると思っています。

こうした若手の変化については、2022年前後に多数書籍が出版され、それと当社の実地での経験をまとめてウェビナーも行いました。

この若手の変化が顕著に出た研修があったので、事例として一つ紹介させていただきます。

その研修は、新入社員研修のまとめとして、23年7月に実施されました。お客様の目的を踏まえ、当社のかつての看板商品である「トナリノココロ®」を活用しました。


ここから2段落にわたり、簡単にトナリノココロを紹介します。ご存じの方は以降の2段落を飛ばしてください。

トナリノココロは、テーブルを移動しながらクラス全体の課題を解決していく協力型のゲームで、協力しつつも、その中で個人評価も行われる「準協力ゲーム」という形式のゲームです。個人評価は石を用いて行い、評価を行う過程で、ポジティブなストロークを投げかけるため、評価された方の承認実感が高まるというものです。ポジティブなストロークの与え方、承認されることの効果を実感できる他、大勢と人脈形成ができるというところから、元々は内定者研修として2009年に開発し、その後、用途を広げていき、かつての当社のビジネスの大半を支えることになったヒットコンテンツでした。※開発初期の思想はリンク先に記載しています。

テーブルを移動してわいわい話す仕組みは懇親に強力な効果がある一方、感染対策と真っ向対立するという理由で、2020年からは販売を停止していました。また、体験会等も12名以上集まらないと実施できないため、2018年から新規事業「ずっとも」を始めて、営業活動に手が回らなくなってからは、あまりご紹介することもなく、この5年位は目立たないコンテンツになっていました。

そうしたトナリノココロが、久しぶりに日の目を見ました。企画の意図も達成でき大成功だったのですが、ゲーム開発者として見た際には、気になる事象がでました。それは上述した「若手の傾向」と関連するものです。

まず、トナリノココロの中では、活躍に対して石が2つ渡されます。全員に平等に渡されるものではないのでだんだん差がついていきます。ゲームが終わった時点で石の数を数えて、多い人が勝利するルールになっていて、かつての参加者はこの多さを誇らしく思ったものです。

ただ、数年前から、評価を避け、石を隣に回すといった「評価する責任を避ける」といった動きが出てきました。これは、ルール上で制限を加えることで対策を行いました。次に、今回起こった事象は、「自分の持っている石をゲームの終盤で特定の参加者に全て渡す」というものです。本ゲームでは「交渉」を禁じていませんので、「交渉の結果、全て渡す」ことになったというルールの抜け穴をつく現象が起きたのです。これまでであれば、石はすなわち、自分の評価であり、努力の結果ですから、それを放棄することは考えられませんでした。

ところが、ルールの穴をついてまで、それをしたかったのです。それはいったいなぜか。私がまず疑ったのが、最近の若手の基本的行動原理である「目立ちたくない」です。「もし、1位になったらどうしよう、目立ってしまう」という感覚です。ただ、それだけでは説明がつきません。次に、「ビリだったらどうしよう、目立ってしまう」というのも併せて存在すると考えました。このように、結果として目立つリスクがあるのであれば、任意の参加者に集めた方が角が立たない。そういった感覚があったのではないかと思います。

次に、杞憂ではありましたが、特定の参加者をつるし上げるような意図がなかったかと確認しました。目立ちたくない集団において、目立たせることは懲罰だからです。となると、石を渡された参加者はどんな気持ちだったのか、本人は望んでいたのかということが次の論点となります。これについては確認したところ、本人から「私を一位にしてください」という今の若手というステレオタイプからすると奇特な方がいたことが確認されたため、安心しました。ただ、若手の中で、心理を理解している人が、引き受けた可能性もあるので、安心しきってはいません。

これらの現象を見て思ったことは、個人の勝敗がつくゲーム、そして個人の勝敗の状況が最後に分かる仕組みのゲームは今の若手向きではないということです。ゲームではプロセスで進捗が分かるものと、終わってからでないと分からないものがあります。本ゲームは後者ですが、前者にする必要があります。また、今回は悲しいことに、自分の石の総数を確認できずにゲームが終わってしまいました。それ自体がゲームの趣旨でもなく、研修の趣旨でもないのですが、リフレクションという観点では、自己の現実を見つめるチャンスがなくなってしまったことになります。このため、多少のルール変更が必要という判断をしました。

最近の若手は「禁止」と書いてあれば、その決まりごとはきっちりと守ります。まず、そのルール改変はしつつ、ゲームの勝利に関わるルールを変更しなければなりません。

具体的な内容については記載しませんが、ゲームのルールも時代に合わせて変更が必要になります。本コンテンツは、完成形に近いコンテンツと思っていただけに、開発者として示唆に富む体験でした。


最近の若手に関するウェビナーについてはご興味がございましたら、「いまどきの若手にはどんな傾向があるか-各社からのご相談を整理して-」をご覧ください。また、トナリノココロについても、ご希望がございましたら資料を送付可能ですので、お問い合わせフォームからご連絡いただければ幸いです。

「ポジティブな関わり」のコミュニケーションゲーム「トナリノココロ」

【ウェビナー】いまどきの若手にはどんな傾向があるか-各社からのご相談を整理して-

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