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財務分析用語暗記ツールの開発背景(前)

なぜ財務分析を行うか

財務分析というと、「一般社員レベルでは必要ない、縁がない」という言葉を聴くことも多いが、私はそうは思っていない。財務分析の用語は意外と身近に転がっている。新聞などで飛び交う「二桁増収」という言葉は成長性分析を行った際に売上高成長率が10%を超えたという意味である。粗利率(売上総利益率)に代表される利益率も財務分析における手法の一つで、収益性分析の手法だ。

全従業員にとって財務や財務分析は無関係ではない。そもそも企業の経営者は基本的にミッション・ビジョンを見据えながら、戦略をマーケティングと財務の観点から考え、経営計画を立てる。経営者やそれをサポートする部門の社員は、その時間の多くを財務分析の指標とにらめっこしながら過ごし、最も有効と考えるものをKPI(特にKFI)とする。それが目標の連鎖を通じて、各従業員の目標になっていくのだから、全従業員は必ず目標連鎖によって財務指標を追いかけ、経営の一翼を担っていることになる。全従業員にとって、「財務」は欠かせないのだ。

財務指標の多くは財務分析の用語である。経営者は、株主との経営成績のコミットメントを株主のわかる共通言語、つまり財務会計 (財務分析)の用語で説明する。なので、IRのページなどには財務会計(財務分析)の用語が飛び交う。

財務分析は一般的に「難しい」と捉えられている。ただ、実は初歩的な財務分析はそれほど難しくない。財務の言葉は専門用語に見えるが、経営者とて専門的な勉強をしているとは限らず、基本的な財務分析には高度な専門性は求められない。最小限必要な知識は、まずは率などの割り算の知識、会社の通信簿といわれる損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)に出てくる財務用語、財務用語の足し引きで作られる財務分析特有の財務用語ぐらいだ。これが理解できるかは学力ではなく、単純に見慣れているか否か、その用語の意味を考えた経験があるか否かの違いにすぎない。

財務分析の学習経験が一度でもあれば、経営者が追いかけているKPIへの視界が拓ける。その点で、財務分析は一般社員にとっても学習すべきものだしであり、経営者の言葉の翻訳機能を期待される管理者はいわずもがなである。「会計リテラシー」はあった方が様々なことがスムーズに進む。

なぜ私たちが開発するか

今回の「財の記憶」の原案は2011年からあるかなり古いものだ。開発の原点は、当社の鉄板財務研修である「パースペクティブ」を2009年に開発した後に「財務分析も学習させたい」という根強い声に対応するために「財務分析モジュール」を作ったことである。「パースペクティブ」に「財務分析モジュール」をつけると1.5日程度の研修となる。

昨今は、「パースペクティブ」を基礎編として初日に使い、残りの半日を応用編として財務分析モジュールを使ってフォローアップ研修にするという事例が増えた。当社らしく「言葉の定義」から財務分析を考え、難しいと捉えられがちな財務分析を平易に理解できる点では良い資料だと評価されており、次世代リーダーのコースで好んで使われたり、企業再建に貢献したりしたこともある。初期の財務分析モジュールでは、安全性分析等を理解するのに以下のような画像を使っている。
財務分析モジュールの画像

これはコミカルでわかりやすくはある。ただ、「財務分析モジュール」は講義と演習で構成されており、当社の強みの「ゲーム」的要素がない。そのため、全面に押し出しにくいと感じていた。この「財務分析モジュール」にゲーム的要素をつけて、更に財務分析を実際にやることで、財務分析単体の研修コースを作りたいと思ったのが開発の動機であった。

財務研修で財務分析を行う際に出現する「死の谷」

財務分析で用いる計算式は、財務会計の用語の演算なので、財務会計の用語の理解を前提とする。更に、財務諸表には登場しないメタ言語も多々登場し、初学者には混迷を極める。理解より手前の用語に馴染みがないことが心理的障壁になっている様子が各所で伺えた。

財務の研修は以下の手順で進むことが多い。①財務の用語理解などの基礎、②財務分析の知識付与、③財務諸表の数字を当てはめる、④実務への適用という手順だ。しかし、多くの場合、②財務分析の知識付与の手前に死の谷がある。①で教わったばかりの用語を組み合わせる②は講義の難易度が高い。このため、理解が不十分になることが多いのだ。講師にとってはここでの死屍累々の様子が、参加者側にとっては個人学習を行った際に敗走した苦い記憶が、どこか心理的な障壁となっているのではないだろうか。

ザ・フレームワーカー」のデザイナーズノートで書いたが、研修では「暗記」などの「記憶」が軽んじられる傾向がある。記憶していないから、活用できないことは多い。HRサミットで、「知覚」について少し整理をする機会があったが、そもそも意味の分からないものは知覚されない。記憶が理解の第一ステップであり、死の谷を超える手段である。

財務分析の用語のわかりにくさは、重層構造になっていることにある。分析手法にはカテゴリ(成長性・収益性・安全性・効率性)があるのだが、実は収益性分析という分析手法があるわけではない。収益性分析には、営業利益率など様々な分析手法がある。これが初学者には分からず、全てが並列に見えてしまう。次に、分析手法には計算式があり、それを覚えるのが難しいようだ。

財務分析学習ツールの開発背景(後)

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