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フレームワーク暗記ツールの開発背景(中)

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フレームワークを学ぶ4つのポイント

フレームワークについて整理したところで、今度はフレームワークの概要を説明したい。フレームワークの学習では以下の4点を把握する必要がある。フレームワークの理解とは構造の理解に他ならない。フレームワーク(framework)を英英辞典で引くと、frame/system/structure/skeletonとある。枠・仕組み・構造・骨格である。これらはすべて、要素と要素、そしてそれをつなぐ線(関係)でできている。そんなに難しい話ではないので、わかっているという人は次項に飛んでほしい。

1.構造化されていること

まずは、構造化されていることだ。局所を論じず、大所高所から論じるために、「自分が今論じていることは全体のどこか」が把握でき、全体像が提示できることである。つまり、自分の頭が構造化されているから人に伝えられるのだ。

2.抽象・具象を往来できること

次に、自分の頭を構造化するにはどうすればよいか。個別具体的な出来事や物事を上位概念で捉えられなければ構造化はできない(逆も然りである)。当社では、上位・下位の概念を行き来できることを「視座の高さ」と呼ぶ。前述の通り、春夏秋冬は下位概念の集合体であり、上位概念であるラベルは「四季」になる。これがわかるということだ。これには、以下の3つが求められる。

  • 下位の要素を上位の要素に紐付ける(関連付け)
  • 具体的なものを抽象化する、抽象的なものを具体化する(概念化・具体化)
  • 要素の集合にラベル をつける(ラベリング)

3.並列概念が漏れなく導けること

次に、要素の集合を見て、ヌケモレの有無にピンとくることである。他者に「他にもありそうだ」という印象を与えない網羅感で全体像が提示できることが重要だ。これは広義の微差力ともいえる。当社では、並列の概念が理解できることを「視野の広さ」と呼び、下位概念がMECEな状態である。

4.筋道が通っていること

“AだからBである”に合意が得られること。すなわち論理的に飛躍がないことだ。これは、正しい演繹ができることそのものであり、研修で学んだだけでは定着が「難しい」。なので、本作では、フレームワークを題材に1~3の概念理解を試みている。

こうしたラベルと下位概念の集合体が構造である。この構造の中で、自分が論じているところがどこかを知ることが「視点を定める」ことであり、すなわち「論点を定める」ことである。視野・視座のいずれをも併せ持つことを「構造が理解できている」と呼ぶ。

「フレームワーク格差」がコミュニケーション問題を引き起こす

ここまでは、フレームワークが日常的なものであることと、フレームワークの考え方を書いた。ここからはフレームワークの効用について書きたい。

大企業の生え抜きの経営者は、ファストトラックに乗り、ビジネススクールで経営教育を受けたり、サクセッションプランの一貫として、次世代リーダーコースに参加することが増えている。私たちも後継者候補に、直接的もしくはビジネススクール経由で経営シミュレーションを使った研修を提供することもあり、そこではフレームワークが使われる。

また、昨今では銀行や経営コンサルティングの業界出身者がボードメンバーに入ってくることも多い。彼らも上述のような教育を受けているので、その語彙にはフレームワークが多々登場する。フレームワークを知らないと、言葉が理解できないことも増えている。こうした語彙量の差で発生する現象の1つが「フレームワーク格差」である。フレームワークを知らない人と知っている人の間でコミュニケーション問題が起きるのだ。フレームワークを知らないことは、英語を覚えるときに英単語を覚えないのと同じことである。

これが常態化すると、組織における指示命令系統が破綻する。つまり、上から下への連結ピンでフレームワーク格差によるコミュニケーション問題がおき、正しく情報が伝わらず、伝言ゲームになってしまう。フレームワークは実はコミュニケーション問題でもあるのだ。

フレームワークはビジネスマナー!?

当社でも例外ではない。若手から私は「横文字が多い」と認識されているのは間違いなく、そのために多くのことが伝わっていないだろう。大組織では、経営者の言葉を翻訳して部下に展開することがマネジメントの大切な仕事だし、若手社員であれば早期に組織社会化するために、武器としてのフレームワークが必要になる。

人は、話されている内容をフレームワークで理解するので、フレームワークがなければ、脳をフル回転させて状況把握をしなければ話についていけない。ただ、組織の新規参入者には、経験もフレームワークもないので、はじめは理解できることが少ない。これが新規参入者に必ず訪れる試練である。

逆に、フレームワークを知っていると、「勘が良い」とみなされることが多いように思う。情報を伝達する際に、フレームワークで不足を補えば、すんなり話が通り、コミュニケーションの総量が少なくて済む。追加で指示や注意も減り、ローメンテナンス な関係が構築できる。その点で、フレームワークは上下間の連携強化のツール ともいえる。コミュニケーションは「人と人の関係性」である。最低限のロジックに欠けるコミュニケーションは相手との関係を壊すことがあるという点で、「印象のマネジメント」の1つであり、「ビジネスマナー」にも属すと考えている。フレームワークはコミュニケーションに必須のスキルなのだ。

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