研修に反対する上司には、◯◯感覚がない? | ビジネスゲーム研修で人材育成の内製化を支援|カレイドソリューションズ

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研修に反対する上司には、◯◯感覚がない?

研修への参加を募る際に、上司が部下を研修に参加させるのを嫌がるという「研修あるある」。部下を研修に参加させたがらない理由は、

  1. 研修に効果がないと思う
  2. 人手を取られたくない
  3. 部門が費用負担するのを避けたい

という3つに大別されます。

目標達成のために必要な人手を取られたくない気持ちはわかりますし、効果がないと思っているものに対して費用が配賦されるとなると文句を言いたくなる気持ちもわかります。また、研修に行って戻ってきても、全然変わらないじゃないか、効果がないと言いたくなる気持ちも分からなくもありません。

研修担当者が知っておくべき2つのポイント

ここで、こうした声にお困りの研修担当者にお伝えしたいのは2点です。

  1. 研修の成否は、上司の態度によって決まる
  2. 研修は費用ではなく資産である

研修の成否は、上司の態度によって決まる

1つ目の「研修の成否は、上司の態度によって決まる」を説明します。

まず、前提となる研究(kirkpatrick1998)があります。本研究では上司の態度を5段階に分けていますが、ざっくりいうと、上司が研修に対して否定的(原典では抑止的・やる気を削ぐ)な場合、部下は職場で研修の成果を発揮しようとせず、また、上司が研修に「中立」な場合も部下は職場で研修の成果を発揮しようとしません。つまり、上司が研修に対して「賛成」の意思表示をしない限り、研修の効果は出にくいということです。

これを研究者の鈴木克明氏は「研修設計マニュアル 人材育成のためのインストラクショナルデザイン」で以下のように述べています。

「中立的あるいはそれ未満の雰囲気で行動を変化させようとすれば、研修の成果が職場で活かされないだけでなく、受講者の不満が募るというマイナスの効果も覚悟しなければならない」

逆説的ですが、上司が「効果がない」と断じる研修は、研修そのものに「効果がない」のではなく、上司が賛成していないことで「効果が出にくくなっている」ともいえるのです。

これは当たり前のことです。全ての会社員は上司の下で働いており、上司から評価されています。その評価の良しあしによって生活が影響される以上、上司の意に反して研修の内容を無理に職場で強行しようとはしません。中立であまり興味がなさそうというのも部下からすると態度が見定められませんから恐怖でしかありません。

上司がどんどん学べという賛成の態度を明確にしているときのみ、部下は研修の内容を職場で活用するのです。この内容は当然のことでありながら、上司はパラダイム転換を求められるのではないでしょうか。

研修は費用ではなく資産である

二つ目の「研修は費用ではなく資産である」も説明します。昨今、人的資源ではなく人的資産、人的資本という表現がなされてきました。これに伴って、各社で人的資本の開示が行われ、また、エンゲージメントの状態を確認するなどの取り組みが行われてきています。

人的資源はどうして人的資本に替わってきたか

人的資源はどうして人的資本に替わってきたのでしょうか。

それを理解するには、まず資源という言葉から説明しなければなりません。資源(リソース)とは消費することによって生産に役立てるものです。火にくべる薪のようなものなのです。なので、人的資源という場合、労働力の使い捨て、消耗品的なニュアンスがありました。時間と生産が直結するような現場のイメージが強い表現です。「人手」がいればそれでよいとも取れるのが人的資源の考え方です。

一方、人的資本はどうでしょうか。資本は繰り返し富を生み出してくれるものです。製造業であれば「設備」だと思うと分かりやすいかもしれません。設備投資をするのは製造業の人にとっては「当たり前」でしょう。設備投資をしなければビジネスはジリ貧になっていくことはいわれなくても分かっていると思います。ただ、研修にもそうした性質があることがあまり理解されていません。研修にも投資しなければビジネスは同じくジリ貧になっていくのです。だから、「人手が取られるのを避けたい」「費用を負担したくない」といって研修に反対するのは、「ビジネスが分かっていない」「ビジネス感覚がない」発言と捉えられかねないのです。

まとめ

以上の二つから言えることは、上司は「ビジネス感覚を持って、研修に賛成しましょう」ということです。それができない上司を見る世間の目は、目線は人的資本経営の世の中では殊の外厳しいのです。

それでもどうしても賛成しないという場合、組織の連結ピンとしての機能を果たしていませんので、上位者から厳しい指導をしてもらうか、目標管理の目標に育成を必須項目として組み込むなど、強硬策がありえますが、できれば自ら気づいてもらいたいものですね。

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