ビジョン理解・浸透に関する研修の発掘【温故知新PJT】 | カレイドソリューションズ

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ビジョン理解・浸透に関する研修の発掘【温故知新PJT】

2012年の初頭に、某ビジネス誌と組んで「ビジョン理解・浸透」の研修及びツールの開発に取り組んだことがあります。もう少しで商品化というところまで行ったのですが、そのビジネス誌のご担当がお辞めになったというのが重なり、お蔵入りになったものです。
折角企画を詰めたものなので、参考までに書き残しておきたいと思います。

ビジョンに関する研修は、昨今はパーパスなどに置き換わってきていますが、当時はビジョン周辺の案件が多かったのです。私はビジョンを「具体的で時限性のある、企業が中期的に目指すべき姿」と定義しています。ビジョンとは、Visionですからvisibleでなければならないからです。

一方、企業のビジョンは誰かが決めたお仕着せのものが先にあり、それを「浸透」と称して上から下に浸み込ませていくというアプローチが取られがちです。ただ、それではうまく機能しませんから、社員から浮かび上がってきたビジョンと経営者の考えるビジョンを統合し、結果として、経営と社員の対話ツールとしてビジョンが活用できるようになるといったことを想定していました。

私も社員だった時期がありますが、お仕着せのビジョンにはコミットできませんでした。こうした人たちは多いと思います。また、社員の視座は経営陣の視座と比べて低く、短期的で結果志向であることが多いものです。このため、ビジョンを通じて、視座を高めることが同時に実現できなければなりません。

手順

このため、手順を5つに分けました。セッション1としてインプット編があり、セッション2として背景理解編があり、セッション3としてビジョン検討編があります。更に、ビジョンの顛末をストーリー化していくセッション4のシナリオプランニング編で絵に描いた餅ではないような検証を行い、最後にセッション5の対話編で経営者と認識のすり合わせを行います。

インプット編

まず、インプット編では「定石を知らないと定石を破れない」という考え方から、典型的なビジョンを知ることから始めます。具体的には、企業名の書かれたカードとビジョンの書かれたカードを用い、話し合いながら適切な組み合わせを作るといったものです。当時は、ディズニーや、リッツカールトンなどのものが印象的だったので、そうしたものを考えていました。

背景理解編

次に、背景理解編では、社員の目に見える結果だけではなく、それが起きた原因となる施策やその背景を探るといったものです。例えば、「うちの会社はこうだ」といったものには合意できても、なぜそうなったのかといったところは分からなかったり、人によって認識が違ったりするものなのです。この原因についてはもちろん各社で異なりますからカスタマイズして提供することになります。

ビジョン検討編

3つ目のビジョン検討編では、グループごとに次のビジョンを検討します。会社の未来像を考えるため、ブレスト的な場になりますが、フォアキャスティング法やバックキャスティング法などの手法を紹介しつつ、グループごとに1つのビジョンを設計していきます。

シナリオプランニング編

4つ目はシナリオプランニング編です。ビジョンを設定するとそれに向かう中で具体的な結果が出てくることが見込まれます。これを「シナリオ」といいます。ストーリー化することによって、ビジョン実現までの過程を具体的にイメージできるようになります。作成時は、時間軸、場所軸、テーマ軸を意識しながら、セッション2の背景を踏まえつつ、楽観シナリオと悲観シナリオを作成します。

対話編

最後は対話編とし、参加者の考えたシナリオを経営者が考えた案と比較して、経営者から解説を行います。差を確認することで課題認識の違いなどが浮き彫りになるのと同時に、重複部分が存在することで、ビジョンがお仕着せのものではないことを確認できます。

非常に深いところまで扱う研修で、パッケージ的にできるものではなかったことから、ツール開発まではいけませんでしたが、面白い取り組みとなりました。

発掘による学習

この手順そのものは、この数年後にブームになる組織開発や、パーパスといったことにも適用できるものですし、当社も小さいながらに同じような問題を抱えているため、自社内のワークショップとしても活用できるものなのではないかと思います。

このお仕事ではもう一つ「バリュー理解」のゲームツール開発も相談いただきました。これは、当社が後日開発した「かちかち山」とは異なるアプローチのバリュー理解の研修開発となります。これについてはまた後日書きたいと思います。

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