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逆パワハラ防止ツールの開発背景

「ボスは貧弱」商品画像

逆パワハラを扱うゲーム研修「ボスは貧弱」をプレスリリースした。新しいコンテンツを開発する際に、先にプレスリリースを書き、それを基軸にして、その後、開発背景とデザイナーズノートを書くようにしている。講師をする方々や後進に暗黙知が残らないようにするためだ。

開発背景部分はオンラインでも公開している。今回はボスは貧弱の開発背景を書きたい。

パワハラは上司が部下に行うものという誤解

ボスは貧弱(以下、「貧弱」)」は、「逆パワハラ」を扱うコンテンツとして開発した。以前「ボスの品格(以下、「品格」)」というパワハラのグレーゾーンを扱う研修コンテンツをリリースした。「貧弱」はそれと対になるコンテンツである。テーマ設定としてはいずれも「パワハラ」を扱っているが、「品格」は「ボス」、つまり上司の行動に潜むパワハラ性を扱っている。一方で、「貧弱」は、「部下」の行動に潜むパワハラ性を扱っている。

「部下の行動に潜むパワハラ」という言葉に違和感を持つ人がいるだろう。また、「パワハラ?逆パワハラではないの?」と思う人もいるかもしれない。これは、パワハラという言葉は上司が部下に対して行うものという先入観があることによるものだ。

パワハラや、その上位概念であるハラスメントは、上司から部下へ向かうものとは限らず、優越的地位の濫用等があれば、誰もがハラスメントの主体になりうる。この点を確認しておいてほしい。例えば、部下による上司に対するハラスメントや、同僚間でのハラスメントもありうる。実際にそうした事例も多々発生していると伺う。

例えば、「ハラハラ」ともいわれる「ハラスメントですよ」と指摘する行為によるハラスメントは顕著にみられるようになっており、上司がハラスメントを恐れて指導全般を委縮することで、業務指示が行き届かなくなった といった問題もでてきているという。

ハラスメントは、上司が主体とは限らず、全員がハラスメントの主体となりうる。だから、企業の担当部門は、パワハラの法制化に伴って、もしくはそれ以前から施策を展開してきている。順序としては、まずは上司から展開し、徐々に裾野を広げてきており、昨今ではハラスメントは上司が部下に行うものという誤解が生まれたことから、その払拭を考えている会社も出てきている。

他にも、上司と部下を混ぜて研修を実施するという場合に、上司が加害者役になるような事例では、時には上司がやりにくいところもある。そうしたニーズが折り重なって、「貧弱」の開発が始まったのである。

逆パワハラとは?

逆パワハラという言葉の発信源は厚生労働省だ。部下から上司へのパワーハラスメントを、上司から部下へのパワーハラスメントと区別するために厚生労働省は「逆パワハラ」と名付けた。逆パワハラは、パワーハラスメントが本来の意味で理解されていれば存在しえない言葉であり、パワハラという概念が誤解されているが故に存在しうる言葉だ。厚生労働省は、パワハラという私企業による和製の概念を採用した。しかし、それにより誤解が生まれ、更に紛らわしい概念を厚生労働省が広めているのは皮肉でしかない。

そもそも、パワハラは不可解な和製英語だ。海外であれば、単にハラスメントでよいものを逆パワハラという安易に名称を増やしたことで、今度は同僚間のハラスメントが抜け落ちるなど、いろいろなことがややこしくなっている。将来的には、水平パワハラが生まれるのだろうか。

また、ハラスメントに順も逆もない。本来的には、誰かが誰かに対して行った行為が、相手から「嫌だ」と感じられたらハラスメントである。パワハラも上司から部下であっても、部下から上司であっても成立する言葉だ。だから、逆パワハラという言葉が存在すること自体が奇妙なことなのである。セクハラに対して逆セクハラがあるというと、「逆も何もないでしょう」と思う程度に、逆パワハラという言葉は違和感がある言葉なのだ。

なぜ開発したか

研修の成果に影響を及ぼすものの一つに「表層要素」がある。舞台設定が自分の状況と合致しているかは無視できない程度には重要なのだ。「品格」は全ての階層に対応できるコンテンツではあるが、ボスの立場にない人にとっては、表層要素の合致度が低い。パワハラをされている立場に感情移入してしまうからだ。

「品格」を2018年5月にリリースしたのち、「貧弱」のリリースは2019年から早々に検討が開始され、カード案やゲーム名までが2019年には決まり、弊社が推進していた研修の定期購読サービス「ずっとも」の3rdシーズン にいれる予定だった。2020年初頭にリリースする予定である旨を体験会や商談でお話しした際には、「是非出してほしい」というお声を数社からいただけた。なぜ、是非出してほしいという話になったかは、別途詳述するが、一点だけお伝えすると、パワハラよりも逆パワハラの方が、本人が気づいていない度合いが高く、深刻だからだ。このため、逆パワハラについては早々に企画が進み、事例の案出しが完了し、絞り込むところまで進んでいた。ところが、2020年3月にコロナ禍が直撃し、オフラインの体験型研修は消えてしまった。伴って、あらゆる開発計画が白紙になったのである。

そうしている中で、事例を担当した学生も卒業し、3年が経過した。オンライン環境がオフライン環境に戻りつつあるなか、集団によって行われることもあるとされる逆パワハラが起こりやすい環境が出てきた。そこで、仕掛りだった「貧弱」についに手がかかったのである。

ボスは貧弱

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