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人事考課における評定誤差をテーマにしたビジネスゲーム研修の開発背景(前)

評定誤差解消ゲームit's too rate

評定誤差は企業の利益を吹き飛ばしかねない

私が人材開発の業界に入ったときから一切変わっておらず、今でも多くの企業が悩んでいる「永遠の課題」に「評定誤差」がある。

評定誤差という言葉は人事系の方以外には馴染みがないかもしれない。評定とは評価結果のことで、その誤差とは評定が人によってズレることだ。これがなぜ悩みになるかというと、捨て置けば、利益を吹き飛ばしかねないからだ。

販管費の中で最もボリュームが大きいのは人件費だ。人件費の総額を総額人件費というが、評定誤差は総額人件費を肥大させ、会社の営業利益をすべて吹き飛ばすほどのインパクトがある。このため、企業は制度設計などのハード面のみならず、考課者研修などのソフト面でも多大なコストをかけて是正に取り組んでいる。

当社が今回”IT’S TOO RATE”で取り組んだのは、評価という活動そのものを机上で再現することである。評定誤差をなんとかするには、「他の管理職のものの見方・考え方を知ること」や「評価バイアスを軽減すること」が効果的であるにも関わらず、管見の限りそれを効果的に行う手法はない。なぜなかったかというと、評価をゲーム化する発想、そして「ゲーム」を考課者研修で使う発想がなかったからではないだろうか。

さて、今回は評定誤差というやや専門的分野に属する内容なので、考課者研修も作っている研修会社として僭越ながら簡単に評定誤差とその問題点について記載してから今回のアプローチを説明したい。

評価のズレは必ず起きる

評定誤差の発生の原因は3つある。まず、評価制度が固まっていないこと、次に、管理職の評価制度への理解が甘く、管理職間で認識が統一されていないこと、最後に、「評価バイアス」が起きることである。

まず、評価制度が固まっていないことだが、中小企業では頻繁に起こる。例えば、今年だけでも評価の尺度が明確でない会社のお話を2社伺った。制度そのものが整っていなければ評価はずれる。これはゲームでは解消できない。

次に、管理職は、必ずしも評価に熱意があるわけではない。それどころか、多くの会社で評価は面倒な「作業」だと捉えられている。だから、目標設定があいまいでも気にならないし、行動観察記録も取らない。だから評価の参考情報がなく、印象評価になってしまい、評価しにくかったとしてもどこ吹く風である。こうした評価制度への理解の甘い管理職にとって、他の管理職と評価がずれることのもたらす結果や、他の管理職の評価などは関心事ではない。なので、他の管理職のものの見方を知ることが評定誤差軽減に必要なのである。

最後に、評価バイアスである。評価バイアスという言葉の意味は後述するが、例えば、「うちの部下はみんなかわいい。だからみんな評価は良くつけたい」という上司と、「評価は動機付けの材料だから、発奮させるために厳しくつけたい」という上司では、結果が同じでも異なる評価になる。

これらへの対策として、考課者研修では、目標の明確化と行動観察記録の徹底と評価時の評価バイアスを教育し、評定誤差が少なくなるように工夫している。ただ、それでも「永遠の課題」であり続けているのが実際である。

目標設定にも行動観察記録にも思い込みが入り込む

目標管理(ドラッカーのいうMBO-S)において、「目標」は重要な役割を果たす。目標設定理論では、当事者間での合意がある限り、目標は高い方が組織成果につながるとされる。目標設定は、組織の目標を踏まえて設定される。管理職は、部下が組織成果のためにできるだけ高い目標を部下が立てられるように「部下の能力」を踏まえつつ支援する。なのだが、まず、この「部下の能力」の見積もりにまず思い込みが入り込む。

さらに、期中には、部下の行動を観察・記録することが推奨される。期末に納得感のある評価を行うためである。ただ、テレビのタイムシフト視聴のように部下に張り付いて全ての行動を記録することはできない。なので、目についた行動だけを記録することになるが、記録した時点で既に思い込みがはいってしまう。例えば、気に入っている部下の行動であれば良い行動ばかりを集め、「良い」という結果への確証を高めてしまう。こうした歪みを確証バイアスという。判断を含めずに事実だけを記録することで多少の軽減はできるが、バイアスをなくすことは不可能で、行動観察があればうまくいくというものではない。

本コラムは、「IT’S TOO RATE」デザイナーズノートからの抜粋です。

評定誤差解消ツール「IT’S TOO RATE」

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