研修で行動計画書をつくってもうまくいかない6つの理由|ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

お問い合わせはこちら

代表コラム

COLUMN

研修で行動計画書をつくってもうまくいかない6つの理由

アポ

行動計画書がどうして上手くいかないのか

企業で研修をすると、最後に「行動計画書」というものを記入することがとても多いです。 先般、「ビジネスゲーム、ここが知りたい」というアンケート調査を始めたところ、「研修後に行動計画書を書かせても誰もやらない。どうやったら行動化できるのか」という質問が数件ありました。(ビジネスゲームに限らないというカッコつきの質問ですが、悩んでいる会社さんが多いので、ここで答えたいと思います。)

私は、研修会社で働いているときに行動計画書を初めて目にしました。例えば3ヶ月とか6ヶ月とかの計画を研修中に作り、3ヶ月とか6ヶ月後に提出期限があり、提出させます。ただ、ほとんどの場合、作って終わりで、研修を提供する側もその実施結果を追えていないというのが行動計画書の実態です。

そもそも「行動」に着眼すべきでない性質の研修もあるので、行動を研修の目的にして良いのかという議論もありますが、企業は行動主義であることが多いので、行動計画書を作りたがるのもやむをえないのかもしれません。

ということで、行動計画書がどうしてうまくいかないのかを少し考えてみました。大きく分けて、計画できない、実行できないの二つがあると思いますが、羅列してみます。

1.その研修を意味づけするための時間が与えられていないので、計画できない

研修では講義を聴いたりワークをしたりして、その後振り返りをします。しかし、振り返りといいながら、「振り返り=講師の解釈の押しつけ」であることが多いので、それが終わった直後に行動計画書を書かせようとしてもうまく行きません。研修の実施時間が極端に短い会社はこのような運用をしがちです。(時間が短いときは、考えさせるよりも押し付けた方が短くて済みます)

私は研修で「フリーディスカッション」の時間をできるだけ多くとり、研修内容に意味づけすることを大切にしていますが、それがないと計画は自分の言葉にならず、例えば、コミュニケーションの研修だったら、「コミュニケーションを取るように心がける」のようなアウトプットしか出てきません。

なので、研修時間にはできるだけゆとりをもち、フリーディスカッションなどの対話の時間をいれるとよいと思います。(講師側から見ると、雑談して暇をしているように見えるのですが、この時間が最もよかったという参加者も多いです。)

2.計画書のボリュームに対して、記入する時間が不足している

計画を立てるための時間が研修のバッファになっていることがあります。当初記入時間を30分とっていたのに、他のパートが押してしまったため記入時間が10分しかないとか、時には時間が全くなくなったので研修が終わった後に職場で記入して提出することもあります。

まず、10分で数か月の計画って立てられますか?そして後日記入するといわれて、真剣に書くでしょうか。私には無理ですし、後日書くならできるだけ省エネで記入します。

上述の1の理由もあって、10分で咀嚼して、かつ記入するのは難しいですし、研修が終わった後にそんな時間をとるのはgoogleや3Mのように実務時間内に自由な時間が制度化されていないと無理です。

なので、きちんと計画させたいなら、咀嚼する時間と同様に研修内に記入時間を取ると良いでしょう。

3.そもそも計画の立て方を学んでいないので計画が立てられない

とはいえ、それでもかけないことがあります。「計画を立てろ」と計画の立て方を知らない人に言ったところで立てるのは難しいでしょう。計画の立て方を学ぶのが先かもしれません。

計画の立て方はどのように伝えているでしょうか。ワークシートは計画の立て方を知らない人でも書きやすいでしょうか。

—————————————————————

さて、ここまではとっても当たり前のことを書きました。ここからは私見です。

4.長期すぎて絵に描いた餅になってしまう

スピードの速いビジネス環境では3か月や6ヶ月という時間はかなり先の話です。ここまで長期の計画は現実的ではありません。そもそもやりたくないですし、それをやらないことで降格になったり減俸にでもならない限りやらない。これが普通の感覚ではないでしょうか。

そもそも、なぜそんな長期なんでしょうか。これはある程度合理的な理由があります。それは「最終的にありたい姿」なしに手段としての行動を書いても、何のための活動なのか分からないからです。だから長期的なゴールを設定し、それに対しての行動計画を作るのです。ここがかなり誤解され、細部にまで至る本格的な計画書を求める結果、重厚長大な行動計画書になってしまいます。

行動計画書には、「○月○日までにありたい姿」がまず必要になります。ゴールの方角が分からないのに闇雲に走ってもそれは意味のない努力です。ゴールを書く欄は計画書に入っているでしょうか。「ない!」という場合、付け足してみても良いかもしれません。

5.そもそもタスクの粒度が大きすぎる

研修での気付きに3ヶ月とか6ヶ月という期間を割り当てて細かく作るのは大きすぎるので、ゴールにとどめた方が良いというのは上に書いた通りです。ただし、ゴールは先でも良いのですが、行動はすぐに着手しないと習慣化されません。仕事のプロジェクトマネジメントでもできるだけ報告期限を短く切るのが普通ではないでしょうか。例えば、1か月以内のタスクを与えると、「夏休みの宿題」のように直前にしかやらない人がでてきます。

なので、ゴールを踏まえつつ、研修終了後1週間以内で実施することを記入し、その実行を1週間程度の短期間で報告させるのが良いと考えています。初めの1週間でやらないことは決して次の1週間でもなされません。同じく、初めの1週間でやってみて、スモールウィンが得られれば、更なる行動に繋がるのではないでしょうか。

逆に行動計画の期間が長すぎると、研修が終わった後、何かをすぐに実行しなくても良いような気になります。プロジェクトマネジメントの原則にのっとり、最小で最優先のタスクを記入し、実行を報告させることをお勧めします。(ここまでであれば、記入時間はそこまで長時間はかからないのではないかと思います。)

6.計画を実行するインセンティブがない

その行動計画書を実行すると、本人にとって何が良いのでしょうか。研修が「感動レベル」で、その計画を実行するとバラ色の未来が見えているというのでない限り、よほど真面目な人以外はやろうと思わないのではないでしょうか。

更に、計画書を作ってから計画の進捗管理をする人が本人以外に誰もおらず、人事は現場に任せていると考え、現場は人事がやった研修だからということで誰もコミットしていないのが実態です。本人の自主性に任せるしかないのです。人事にできることは提出期限を定めることくらいですが、提出期限を定めても、研修の熱が冷めてしまった後は、誰もやらないでしょう。現場に見てもらうのも、残念ながら全ての現場にそこまでを求めるのは難しいと思います。なので、長期的な計画は実行されず、短期的な計画でも個人のやる気に依存してしまうのが実態です。

ただ、個人のやる気という観点では、研修中の動機づけや、研修中に他者に宣言して「約束」することが有効です。これは研修中に短い時間でも入れるとよいでしょう。

—————————————————————

これらをまとめると、研修の設計全体が大分異なってくると思います。

    【研修の時間配分】

  1. 研修を咀嚼する時間を取る(フリーディスカッションやワールドカフェなど)
  2. 記入時間を研修内に取る&計画の立て方を説明する
  3. 記入内容を宣言する時間を取る


    【ワークシートの設計】

  1. ゴールを書く欄を作る
  2. 直近の行動を書く欄を作る
  3. 提出期限は短めにする(1週間など)
  4. ※その後の行動については提出期限を追加で設定したりしても良いですが、その分記入時間が長くなります。

ちなみに、ビジネスゲームのように目標があいまいな研修と、目標が明確な研修では、ゴールのあり方が異なります。また、ゴールが明確な研修なら、それを実現するプロセスも類型化されていると思うので、わざわざ書かせることに何の意味があるのか僕にはまだ答えが出ていません。

選択肢が示された道を走るのか、自分が選んだ道を歩くのか、自己決定したという点では違いがあると思いますが、これについては自己決定する時間が無駄なように感じてなりません。この点については念のため付記しておきます。

目標設定を明確化する研修ツール「13 Goals」

研修内製化コンテンツ

人気のコラムBEST5

コラム カテゴリー別

コラム 年別アーカイブ