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OJTトレーナー教育を考える

少子化による採用母集団の縮小に伴う採用の困難化や、景気回復による企業(特に中小企業)の採用数の増加により、多くの企業では採用が難しくなってきているという声を聞きます。

折角採用した社員を辞めさせないために「魅力ある職場」の構成要素の一つである学習機会の提供による成長実感ひいては自己効用感を引き出すために、学習のための3つの要素「OJT」「Off-JT」「SD(セルフデベロップメント=自己啓発)」を拡充している企業が増えてきています。

この3つの要素の中でも、実際に一番時間の多いものが「OJT」ですので、この「OJT」の質的向上によって、自己効用感や成長実感を引き出し、結果として社員にとっての「居場所感」を作り出し、社員のリテンションを行おうという企業が増えてきています。

ここで、OJTについて考えてみたいと思います。OJTとは、On the Job Training(オンザジョブトレーニング)つまり職場における訓練のことです。OJTを構成する要素としては、トレーナー(教える側)とトレーニー(教わる側)と学習項目があると考えます。トレーナーがトレーニーに働きかけることで学習項目を習得させるというのが、 OJTの基本です。

このトレーナーの育成が急務といわれています。過去の不況期の人員削減によって、OJTを行う対象である新入社員が入ってこなくなったり、OJTを行う余裕がなくなったりで、OJTを行うためのノウハウが、トレーナーとなる中堅・若手社員から失われたことが背景の一つとしてあります。

この、トレーナーを育成するために、OJTトレーナー研修(場合によっては、教育担当者研修・メンター研修・ブラザーシスター研修などと名称は異なります。)を実施し始めている企業が多いようです。

では、OJTを円滑に行うためにOJTトレーナーに求められる要素とはなんでしょうか?

それは、3つあるといわれています。

  1. 業務の経験
  2. モチベーション
  3. 教えるスキル

 
です。

トレーナーを選任する段階で、業務経験がある程度豊富な人材が選ばれているはずですので、上記の1.業務の経験は満たされています。ポイントとなるのは、2.モチベーションと3.教えるスキルの付与となります。

2.モチベーションは、OJTを行うことが「余計な業務」ではなく、トレーナーにとって価値がある業務だという意味付けがポイントになります。

また、3.教えるスキルは、最近はコーチングに偏向している傾向が見られますが、状況対応理論によると、トレーニーが業務経験がなかった場合、コーチングはほとんど機能しませんので、ティーチングとコーチング及びその使い分けを教えることはポイントになるでしょう。

過去に行われていたOJTトレーナー研修は、比較的「3.教えるスキル」を教えていることが多かったようですが、最近は「2.モチベーション」を重視する研修会社も増えてきているようです。

私は過去に多くのOJTトレーナー研修の案件を扱い、上記のような研修を実施し、クライアント企業様の評価を得てきましたが、実は一部の企業様にとっては、上記のフレームでは、不十分だということが分かってきました。

OJTトレーナーの研修の中では、「業務の棚卸」やそれに基づいた「OJT計画書の作成」などを行うケースがほとんどです。しかし、一部の企業様で研修を実施すると、

  • 業務の全てを棚卸するには時間が足りない
  • 組織的に育成するのに、個人で棚卸した内容を教えていいのか分からない
  • 会社から何を教えるのかを明確に示してほしい

という声が寄せられることがあります。

これはつまり、過去において存在していた「スキルマップ」のような「何(what)を教えるのかを明確に示した文書」が、時代に合わなくなったため使われなくなってしまったり、更新が行われていなかったり、そもそもなかったりすることが原因と考えられるのではないでしょうか?

この数年間で人事部も「小さな人事部」となり、多様化した業務の全体像をつかむことも、マンパワー的にもそのスキルマップを作ることは困難になってきているほか、人事部のジョブローテーションによって、人事の中にスキルマップ作成のノウハウが失われてしまっているのではないでしょうか。

個人のモチベーションを土台として、何(what)をどうやって(how)教えることができるようにすることで、OJTの質が向上できるのではないでしょうか?

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