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インバスケットとインシデントプロセス法

昨今、「インバスケット」がブームのようである。経営シミュレーションとの類似性から、インバスケットについて尋ねられることがあったので少しインバスケットについて書いておきたい。後半では、インバスケットより上位階層向けのインシデントプロセス法などについても触れる。

インバスケットの用途は研修だけではない

管理職や昇進のための「アセスメント」という人事サービスがある。これは、評価される側の行動を、ツールを用いて顕在化させ、それをアセッサーと呼ばれる観察者が観察することでマネジメント等の適性を測るものだ。外部者の目を入れて評価の参考とすることで、公平な処遇に近づくことができる。行動観察の機能はいずれAIやテキスト解析に代替されるだろうが、ツールを用いて行動を顕在化させる機能には明確な型があり、これは普遍的に活用できるものだと考えている。

このツールの一つにインバスケットがある。私は、アセスメントを介して2003年にインバスケットと出会った。アセスメントではインバスケットを使うことが多い。評価に使うという特性から、対策されてしまわないようにあまり表にでてきていなかったのだが、最近は学習効果の高さから活用が進んでいる。(コモディティ化することで昇進予定者がある程度対策できるようになったことは悩ましいが、効果の高い学習手法が広がったことで、生産性が向上したと考えると痛し痒しである。)最近は、インバスケットは研修手法というご認識の方も多いと思うが、実はアセスメントでも使われるのである。

インバスケットは広義の経営シミュレーションである

インバスケットは、インバスケット(未決箱)という名前の通り、バスケットの中にある所与の情報を与えられた範囲の中で整理するワークである。実務そのものではなく架空の事例を用いるのも特徴的だ。その点では、広義のビジネスシミュレーションである。情報の量に対して時間が不足する設計となっており、参加者はその中で大量の情報の中で「目眩(ミミクリ)」の楽しみを得ながらワークを行う。インバスケットはゲーム性は薄い。ただ、その活動はゲーム的(仕事とはそもそもゲーム的なので当たり前だが)であり、楽しみながら学習できる(評価の場でなければだが)。

インバスケットは若手向きの学習ツール

学習できる内容は概ね以下だと考えている。まずは、優先順位付けである。多々の情報から自分が手をつけるべき情報を取捨選択する。次に、関連付けである。五月雨式に処理するのではなく、関連する業務を一度に処理する。最後に、ホウレンソウと権限委譲である。自分の権限を超えるものについてはホウレンソウをして確認し、自分の役割で行うべきことでないものについては、下位者に権限委譲を行う。こうした活動を「タイムマネジメント」や「段取り」という。

タイムマネジメントや段取りは、ビジネスパーソンとしては必須のスキルだが、上級のスキルかといえば比較的初歩のスキルに位置づけられる。上述のアセスメントでも、インバスケットは係長などの昇進昇格で用いられ、管理職の昇進昇格においては、本流ではなくサポーティブに使われる。つまり、インバスケットは管理職にとっては「復習」レベルの内容になる。

不足する情報を取りに行く「インシデントプロセス法」

では、管理職向けにはどのようなツールがあるかというと、2つある。一つが、インシデントプロセス法だ。簡単に説明しよう。インシデントプロセス法もケーススタディの一種である。ケーススタディという点ではインバスケットとさほど変わらない。ただ、文章の量が全く違う。つまり、情報が足らないのだ。意思決定に際して情報が不完全な中で、どのような情報が必要かを考えて、自分から情報を取りに行き、そこから論理構築を行い、最終的な意思決定を行う。

ここでは、どのような思考の枠組みを持っているのかが大きな論点となる。そもそも思考の枠組みや過去のパターンを持っていない人は、聞くことすら見つからない。その点では、高いコンセプチュアルスキルが求められる。だからこそマネジメント層の選抜に使うのである。

ちなみに、当社では、とある外資系企業の新入社員研修(といってもマネジメント候補者)でこのインシデントプロセスを用いた問題解決研修を実施しているが、例年非常に盛り上がり、学習効果も高いために好評である。

管理職向けのもう一つのアセスメントツールとは?

2つあるうちのもう一つは、なんと「ビジネスゲーム」である。これも架空の環境の中での意思決定という点では変わりがない。ビジネスゲームについては、日々発信を行っているので、今回書くことは避けるが、ビジネスゲームもアセスメントに活用することがある。ここで紹介したインバスケット・インシデントプロセス・ビジネスゲームは全て経営シミュレーションなのである。

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