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ゲーム研修の静と動

ゲーム研修には、相手の動きに合わせてこちらの動きを変えるなど、「動的」なものが期待されることがあります。

動的なものと静的なものについて考える機会がなかったので、少し考えてみました。

「相手の出方に合わせてこちらの出方を変える」のは「動的」と言われます。

「刻一刻と変わる状況で状況に応じた手を打つ」のも「動的」と言われます。

先日読んだ「交渉は創造である~ハーバードビジネススクール特別講義~」という書籍では、「交渉」はこれまで「静的」と捉えられていたが「動的」な活動だと書いていました。これまで、静的な状態を分析して打ち手を考えていたが(いわゆるハーバード流交渉術は「静的」と感じました)、実際の交渉は刻一刻と状況が変わるので「動的」な交渉術を磨く必要があるそうです。

現実は常に動的です。更にいえば、動的で複雑です。

さて、動的で複雑な状況に対処するには、何を学ぶべきでしょうか。

少し考えてみたところ、

  • 動的で複雑なのが現実。だから、動的なものに対応できるようにしなければいけない
  • 動的で複雑なのが現実。だけど、静的なものに対応できるようにしなければいけない

という二つがありそうです。

前者は実務家の発想で、後者は教育者の発想だなと感じます。

後者の考え方は、「動いている的を射る前に、止まっている的を射ることができて当たり前」という考え方です。言葉を継ぐと、「だって、動いてる的を射れないから研修するんでしょ」と考えるんです。

思えば、僕がこれまで作ったコンテンツは、比較的静的なものが多かったように思います。その点で僕の教育者としての一面が濃くでていたと感じます。

いくつか例を挙げましょう。

「運がない状況で正しい判断ができない人に、複雑な判断を求められても難しい」と考えて作ったのが「パースペクティブ」です。

また、その他のコンテンツでも、「静的」な部分を講義で行って、「動的」な部分をゲームで行うというやり方もしてきました。例えば、「パラダイス」は、冒頭の講義では「静的」な交渉を学びますが、ゲームでは非常に「動的」なやりとりを要求します。

僕の中では「動的」は「静的」の応用という位置づけになっています。

一方で、実務家は「動的」なものを求めることが多いです。例えば、マーケティングジャムは、「どうやっても勝てる/負ける可能性がある」ように作っています。この環境下はアダプティブに戦略を立てることが求められます。相手の状況を理解し、自社の状況を踏まえ、バッティングしないようにしながら「読み合い」を行う。これが「動的」なゲームです。とても面白い。

このどちらが正しいというのはありません。この2つの考えを分けるのは、「参加者の属性」かなと思いました。コンテンツ開発に関してのみ言えば、「参加者への開発者の期待」と言い換えても良いかもしれません。「静的な状況ですら正しい判断ができるかどうか怪しい」という参加者への期待を持つ僕と、「優秀な人だらけの世の中で正しい判断ができる人同士がぶつかればとても素晴らしい場が作れる」という参加者への期待を持つ僕がいて、どちらを想定するかによって適切なゲームは違うのです。

静的・動的の選択はとても難しいです。

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