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信頼感はぶつかることから

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「チーム」は以下のようなプロセスを経て機能する

2月頃、とあるお客様とお話をしていて、形式知として知っているに過ぎなかった「タックマンモデル」が頭の中ですっきり落ちるという体験をしました。

タックマンモデルは、「チーム」は以下のようなプロセスを経て機能するという考え方です。

  • Forming
  • Storming
  • Norming
  • Performing

こう書いても分かりにくいと思いますので、少しかみ砕いて説明します。

1.Forming:形成

「形成」とあるとおり、「集団」が形成される段階です。よく、「チーム」と「グループ」は違うといわれますが、この形成期は、「グループ」という単なる人の集まりが形成された段階を指します。

2.Storming:混乱

混乱期と訳されますが、必ずしも混乱を意味しません。人間は当然ながら多様です。このため、多くの場合、簡単に合意が形成されることはありません。合意が形成されるためには、メンバー同士がきちんと自分の考え、想いを表現し、ときにはぶつかり、価値観と価値観が吹き荒れる嵐の状態を作る必要があります。この嵐をさして”Storming”といいます。私が最も重要だと感じるのはこのStormingです。

3.Norming:規範

Normとは「規範」です。チームに嵐が吹き荒れたあとは、「こういうときはこうしよう」というルール・規範が生まれます。この規範が形成される段階をNormingといいます。

4.Performing:成果

チームが機能しはじめ、成果が創出される時期です。

以上非常に簡単に記載したのですが、私が大切だと感じるのは2のStormingです。

日本人は聖徳太子の時代から「和をもって尊しとす」という考え方をする民族です。この考え方は、Stormingの状態を許容しないように思えます。人間の行動特性などの診断結果でも、日本人は、安定特性が高く、摩擦や衝突を回避する傾向があります。このため、Stormingを飛ばして、Normingに移行するという歪んだチーム形成プロセスを辿ります。

例えば、「とりあえず、こういう風に決めておこうか」と摩擦を回避し、仮初めの規範を形成することが多いなのではないでしょうか。

私も会社勤めをするなかでこのStormingが飛ばされるということを多く見てきました。

  • Stormingを飛ばすのはどのような場合なのか。
  • Stormingを飛ばして影響はないのか。

ということをずっと考えてきました。

答えをいいます。

Stormingを飛ばすのは、チームメンバーの「親和欲求」や「安定特性」が強い場合です。そして、Stormingをスキップした場合、Stormingを行ったチームと比べて、成果は低くなるという影響があります。

このことがお客さんとの話し合いの中で明確になりました。具体的に「親和欲求」が高いチームは、楽しくワークを行ったが、成果が低く、逆に、「達成欲求」が高いチームは、喧嘩をしたり、衝突したりしながらも、高い成果を創出できていたのです。

私が在籍していたとある会社の社長は、「徹底的に理解しあう」ために、摩擦があっても徹底的に話しあうように意識していました。このため、私が離れた今でも信頼関係が保てていると感じます。

更にもう一つ大きな気付きがありました。

喧嘩をしたり、衝突したりしながらも、腹を割って話ができたチームメンバーたちは、非常に強い信頼感を相互に持っていました。逆に、「親和」を志向したが故に、衝突を避けたチームはそこまでの信頼感を相手に抱いていなかったのです。

これは「親和欲求」が親和を求める行動をとると、親和が実現されないというパラドックスなように感じます。

この気付きは本当に価値あるものでした。

「きちんと腹を割って議論すること」は、対社内であっても、対プロジェクトメンバーであっても、対顧客であっても、信頼感を形成するため役立つのです。

ちなみに、対顧客の場合、遠慮をするということもあると思います。

しかし、それは顧客を「ソト」の人と認識しているからかもしれません。

以前、「お疲れ様ですのススメ」でも書きましたが、お客さんを仕事というプロジェクトの「ウチ」であると考えていれば、腹を割った議論もできるように思います。

この4月、組織変更でチームが変わるという人も多いと思いますが、一度きちんと自分の思いを歯に衣着せず伝えることで、人間関係は逆によくなるかもしれません。

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