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“別れの教室”という脱出ゲームイベントを観覧して思ったこと

■謎解きイベント全般について

昨今広い意味での「謎解きイベント」は「場」ブームや「つながり」ブームの文脈の中でエンタメの一つとしてとても流行しています。

私も、2009年の末ごろリアル脱出ゲームという謎解きイベントを体験しました。そのときには、「エンタメなら使える」という印象を受けました。当時は、楽しさの研究をしていた時期だったので、

  • 協働による時間の不足の解消(タイムマネジメント)
  • 謎解きによる推理性
  • 閉鎖空間からの脱出という非日常性

を、面白さの構成要素ととらえていました。

■当社と謎解きイベントの関わり

当時、小学校時代からの親友から依頼があったこともあり、結婚式2次会ゲームというのを作ってしまいました。 その頃は、言葉としては知らなかったのですが、「ジグソーメソッド」という「採用でよく活用される「ピースを集める」グループワーク」とリアル脱出ゲームの持つ面白さの構成要素をミックスしてゲーム開発をしたのを覚えています。以前コラムを書いていますので、詳細は以下のエントリにて。

ちなみに、ジグソーメソッドは、当社のプロジェクトマネジメントゲーム「エコーズ」の原型のゲームで、「情報収集をしてルールの全貌を理解する」とか、当社の総合ビジネスゲーム「シンセサイザー」というゲームで、分散された情報を統合しないと全体像が見えてこないという仕組みで採用していて、結構ウケが良いです。

■今回のLudixLabでの取り組みで気づいた10点

そんな思い出深い、謎解きイベントを、私が所属しているLudixLabとそのメンバーの福山さんが協力している産能大の橋本研究室の協力で実施するということで、観覧(参加ではなく)してきました。観覧なので、とらえきれていない現象も多々あるかとおもいますが、気づいた点を10だけ、備忘のためにメモしておきます。

1)謎解きイベントはルール説明が短くて済む

ビジネスゲームは複雑性が高く、30分程度ルール説明をするのが一般的です。逆に、謎解きイベントは「謎ドリブン」なことと、「進め方の発見」が楽しいので、ルール説明は基本ルールを説明するだけで済み、短時間で終わります。これは特徴だと思います。今回も短時間でスタートできていて、うらやましさすら感じました。

2)映像との親和性が高い

伝えるべき情報量が少ないので、映像情報が用いやすいのも特徴です。映像は解釈の多様性が文章よりも高いので、ルールの厳密な理解が求められるものでは使いにくいのですが、逆にルールが少ないものの場合、コンテキストの伝達が肝になり、映像が効果的です。今回は、学生さんが作ったという素敵な導入ムービーが良い効果を醸し出していました。

3)ジグソーメソッドを採用

ジグソーメソッドは、一部の強いリーダーがひっぱりすぎてそれ以外の人が参加できない「お客様現象」を回避でき、全員が参加できるのが特徴です。全員の参加は全体の満足を目指すエンタメでは欠かせないな仕組みです。ジグソーメソッドが採用されて作られていたので、強引な展開は見られませんでした。 また、ジグソーメソッドは「発達の最近接領域」という独力ではできないけど、手助けによってできる領域にタッチさせる点で面白いと思っています。

4)2重の協力関係

今回は、ジグソーメソッドを用いて、2重の協力関係(メインのグループと、分散されたグループ)が構築されていました。これは「懇親」に有効です。実は、当社のトナリノココロもこの手法を使っています。通常の研修では、あまり多くの参加者と話せませんが、このやり方だと多くの参加者とコミュニケーションをとれます。ただし、メインのグループの懇親とサブグループの懇親の順序を誤ると、メインのグループに対するコミットメントが維持されないので、注意する必要はありそうです。

5)演劇的

最近は、「演劇」というと「インプロですか」と聞かれるほどインプロブームですが、インプロ的ではありません。シナリオ通りに進むという点で演劇的と書いてみました。謎解きイベントでは、途中で巧妙に作られたシナリオに基づき、追加情報が加えられます。これは、採用のゲームでよく用いられるのですが、シナリオが持つ「操作性」が強いため、研修で用いられた場合は「理不尽さ」の原因となってしまいます。このため、研修では避けるべき手法だと思っています。しかし、演劇的な要素は、「イリンクス(眩暈)」の要素を生み出し、場を盛り上げられるという点でエンタメ的です。今回も追加情報が場にざわつきを起こしていました。

6)フィードバック

研修ゲームでは、随所にフィードバックが与えられます。謎解きイベントですと、ゲーム終了時に大きなフィードバックが与えられる反面、進行中はフィードバックが比較的少ないのが特徴です。謎を解くと「何か」が得られる点ではフィードバックはありますが、得られたものの価値がすぐにわかりにくくフィードバックが少ないのです。

価値を明示的にしすぎると謎がすぐに解かれてしまい、イベントの足を引っ張ってしまいますし、それを補うために別な謎を配置したり、謎の量を増やすことはせわしなさを増すだけです。なので、フィードバックは意識しておかないと散漫な内容になってしまいます。私が「結婚式二次会ゲーム」を開発したときには「ステップ」という概念を入れることで、現在の進捗状況を示すことで問題を解消しました。今回の別れの教室にも2段階のステップが設計されていたように思います。

7)快・不快

「解けなくて不快」という印象を与えないのもエンタメでは重要です。チクセントミハイのフローの理論では、「自分の能力よりちょっと上」が推奨されていますが、公募型のイベントでは、誰が来るか分からないため、設定が難しいのです。なので、はじめはやさしく徐々に難しくなるようにすることで誰にとってもどこかのタイミングでフローが起こりやすくなります。これは、謎解きイベント全般で見られる特徴ですが、反面クリアできる人は少なくなります。(これも魅力だと思います。)

8)時間の設定

時間の設定は慎重に行わないといけません。謎解きイベントは、比較的時間をかければ解けるようになっています。(そうでないと、上記7)の問題が解消できません。)ただ、簡単な問題でも時間が足らないと不満の原因になります。ここは研修で課題を課す際にも言えることですが、観察する側は集団をよく観察して、その能力を踏まえて柔軟に時間設定できるようにコンテンツを設計しておくと解消できたりします。(上記のステップの考え方と通じるところがあります。)

9)テーマの整合

今回のイベントの最大の価値はこれだと思います。巷の謎解きイベントは、「なんで謎を解かされているの?」という無茶な設定に解を持っていません。例えば、犯罪者が爆弾を仕掛けたといっても、「なぜ謎を解くと爆弾が解除されるのか」に合理的な説明がないと、「ゲームのためのルール」になってしまい、参加意欲が減退します。内容に触れるので詳細への言及は避けますが、別れの教室はここが丁寧に作りこまれていました。

10)最後の種明かし

ここは、謎解きイベントを「学び」とつなげる際に重要です。懇親会で橋本先生が「先生がいると思うと考えなくなる」と仰っていました。種明かしは「先生的」です。なので、ここは一方通行で種明かしをするのではなく、発問型など参加型の形式にして考えることを促せば、学びの要素を多少付加できます。

私は、学びのコンテンツばかりつくっていて、たまに最後に一方通行の解説をしてしまって「失敗した!」と思う時があります。最後に講義をすることは、最後に「考えなくてもよかった」というメッセージを伝えることになります。ここがエンタメか学習コンテンツかの違いかもしれません。

以上10点ですが、最後にこの会を運営していたのは学生でした。学生時代にこのようなステキな取り組みに参画できることはきっと未来の糧になるのではないかと思いました。

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