弊社が創業した3年前は、まだリーマンショックも発生しておらず、研修費用の削減等のお話もあまりありませんでしたが、この2年間で研修内製化を掲げる企業が少しずつ増え、競合するようになってきました。
弊社としては、競合が増えるのは、よりサービスの質をあげるための良い機会になるので、良いことだと考えているのですが、各所でお話を伺うと、「おやっ!?」ということも増えてきました。
この「おやっ!?」について、少し前に記事を書きましたので、その内容を下記転載いたします。
企業研修の内製化について、研修内製コンテンツ開発者の目線から提案したい。
この1年で企業の教育訓練費用支出は半減した。この流れは継続しており、今年度の新人研修のキーワードは「内製化」ともいわれたほどである。内製化を検討する企業が増加し、その外注による制作にも注目が集まっている。
弊社は研修の内製化を主たる事業とし、特に企業内で開発が難しいビジネスゲーム開発を行っているのだが、内製化は企業の多くは、内製化の基本方針を作った後、重労働である内製化実務は外部に制作依頼をする。昨年も多くの内製化のご依頼を頂いてきた。
その大半は「コスト削減」を目的としていた。しかし、今年度は2点大きな変化があったように思う。まず1点は、「研修の継続性」がより意識されていることだ。採用数を絞ったため、参加者数が少ないのが今年度の特徴であるが、以前は採用が減少すると、外部の公開講座に参加させることが多かった。
ところが今年度は、昨年と同じ内容の研修を、外部に依頼せず、内製化し継続的に実施できる体制を作りたいと考える企業が増えている。次に、「コンテンツの価値に企業が気づいたこと」である。研修は講師だけでなく、コンテンツなどの要素と複雑に絡まって形をなしている。研修内製化専業の会社の啓蒙活動によって、これまで研修の成果を講師だけの力によるものと考えていた企業も、講師だけではなくコンテンツも等しく重要と認識を変えつつある。
ところで、内製化の潮流は不可逆のものだが、安易な内製化の外注には注意が必要である。注意点は3つあり、価格・品質・再現可能性である。
まず、価格だが、講師派遣と内製化を両方行っている研修会社の立場で考えると、内製化をサービスにすることは講師派遣業と自己矛盾を抱えているため、高額で受注しないと割に合わないと考える。しかし、企業は割引現在価値を考慮して適切な金額を提示してくる会社に支払うべきである。
次に品質である。内製化を安価で請けるのは研修会社にとって不況期の生存戦略である。このため、良いコンテンツは講師派遣のために温存するという論理が働く。本当にベストな研修コンテンツかを見定める審美眼が必要だ。
最後に再現可能性である。特定の技能を持った、もしくは習熟した研修講師でしか実施ができないという研修は間違いなくある。内製化を絶対視するのではなく、内容に応じた適切なサービスを選択する視点も必要である。
労働新聞掲載記事
カテゴリー: コラム総合 ,代表コラム ,当社の経営を考える
公開日: 2010年6月10日