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学術と素朴理論の間に

ビジネスゲームを主として研修コンテンツを作るという仕事をずっとやってきています。

ビジネスゲームを作っているというと、ゲーム「だけ」を作っていると思われることが多いのですが、研修というのは、ゲームだけで成立させるのは少し難しく、研修として成立させるために、ゲームの前後に講義だったり、振り返りスライドだったり、ワークショップだったりを設計することが大半です。(最近読んだ論文では、これを「ゲーミング」と定義するらしいです。)

こういう部分を作っていると、逆説的ではありますが、ゲームはいらないから研修部分を売ってほしいとか、つくってほしいという声もたまにでてきます。これは、研修内製化支援を生業とする当社にとっては喜ばしいことです。が、このところ、悩んだことがあります。解決したのですが、忘れないように書き残しておきたいと思います。

それまでは、特に気にしていなかったのですが、とあるお客さんの言葉でそれを認識しました。そのお客さんから言われたことを2つ、記載します。

スライドのこの部分、どんな根拠があるんですか?根拠や出典を示して下さいよ。

 
その部分は、別に何かを参考につくったものではなく、素朴理論とかフォークセオリーとか言われるものでした。ただ、ご要望があったので、色々と文献を探して、似たようなことを言っているものを見つけ、そのままの引用に変更して、出典をつけました。

少しした後、同じお客さんから言われた言葉が次のものです。

今度はどこからぱくってくるんですか?

 
この言葉を聞いて、愕然としました。正直なところ、研修内製化支援のビジネスを続けていく自信も喪失しました。

コンテンツ作成を行なう上で、全ての部分に引用をつけていたら、それは論文だったり、まとめサイトみたいなものだったりになってしまいます。逆に素朴理論だけで作ると、思いつきだとか、言われることがあるのです。(本当はそのまとめ方がオリジナリティなのだと思うのですが、部分に目がいく方には、そのように認識されることは中々ないのではないかと思います。)

研修は参加者が行う

私は比較的はっきりしたゲーム観を持っていて、ゲームの意味付けをするのは講師ではなく、研修参加者本人や参加者間の相互作用で決まると思っています。そして、それを最大化することで、学びが大きくなると思っています。

なので、正直なところ、上記の、特に講義部分というのはそもそもそこまで必要と感じておらず、参加者の即興ででてきた形をなす前の言葉に、講師がビジネスの言葉を与えてあげるだけで良いと思っています。

では、ゲーム開発であれば、上記のような問題はないのかというと、現時点では問題はないと考えています。ゲーム開発はその点で引用を求められることもなければ、素朴理論の入り込む余地もあまりなく、はじめにデザインした通りに作ればよいからです。

これに気付いた時に安堵しました。本業を続けていればよいのだと。ここに気付いた時に、少し脱皮できたような気がしました。

ゲーム研修の強みを生かした『ずっとも』

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