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3つ目の「似ている」~目的の類似性ってなんだろう?~

これまで、表層要素の類似、関係構造の類似について書いてきましたが、3つ目に「目的の類似性」があります。

これは、非常に簡単です。目的が同じものは想起されやすい。例えば、自分の仕事と同じ目的を持ったゲームは、想起されやすいのものです。

例えば、「テトリス」の目的は、ブロックを消し続けることです。ビジネスとの合致度は高くないように思います。(消し続ける仕事もあるかもしれません。そういう場合は合致するかもしれません。)なので、テトリスを使ったビジネスゲームがもしあったとすると、転移しにくそうです。だからテトリスのようなビジネスゲームは存在しないわけです。

また、「全員でパズルのピースを集めて地図を完成させるグループワーク」をきいたことがあると思います。それと同じ目的を持った状況はあるとしても、それほどイメージしやすい目的には見えません。だからそのグループワークを実施しても職場で同じ目的を持った状況と遭遇しにくいので「やりっぱなし」になってしまいがちなのです。「脱出」を目的としたものもそうですね、「脱出」を「目的」とする状況はビジネスではあまりありません(いや、あるのかな。。。)。

逆に、「全員で一丸となって組織の業績を高めるゲーム」は、現実の職場と目的が近しいので、転移しやすいといえます。

最近、色々なゲームを使った学習がありますが、

     

  • ビジネスとは関係ない市販のボードゲームを使う(関係構造のみ類似)
  •  

  • ビジネス用にデザインされたビジネステーマではあるけれども、自社ビジネスと関係ないゲームを使う(表層構造の類似と目的の類似)
  •  

  • ビジネス用にデザインされたビジネステーマで自社ビジネスと関係のあるゲームを使う(3要素すべてが類似)

というように整理でき、後ろのものほど転移しやすいのではないかと思います。(表層だけ似ているというものは、これまでみたことがありません。)

もちろん、同じような仕事をしていても、何を「目的」としているのかは、個々人によって異なります。なので、研修の冒頭で各自の仕事が何を目的としているのかは予め確認しておいた方がよいと思います。

過去に面白かった例としては、会社の業績を上げることが重要という認知を全くしていない社員に対して会社の業績を上げるゲームは全く理解を得られませんでした。会社に勤めている以上、これではいけないのですが、前提が異なることもあるのが世の常ですので、改めて全員が共通の認識を持っているのかを確認した上で研修を行った方がよいでしょう。

■学習転移はアカデミックに実証された理論なのか?

ここまで、6回に分けて学習転移について書いてきましたが、最後に少しショッキングな話をします。

ここまで書いてきた学習転移の研究は、研究結果なので実証的なもので、私の個人的な意見ではありません。しかし、あくまでも「個人」を対象にして研究されてきたものだということです。

「グループワーク」としてビジネスゲームを行った場合に効果があるかは複雑性が高すぎるために実証的な研究はなされていないそうです。その点では、「集団で行う」ビジネスゲームなどのグループワークが学習転移しやすいと断言しては嘘になります。

しかし、だからといって、全く効果がないとも言えません。私たちの肌感覚的では、ビジネスゲームをすると他の学習手法よりも学習が転移しやすい感覚があると思います。その感覚を信じるかどうかは、自分次第なのです。

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