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越境を通じた学習について

越境を扱う研修があります。

これは普段行わない活動に身を置き、そこからのアナロジーで気付きを得るものと理解しています。例えば、サバイバルゲーム(軍事)、インプロ(演劇)、ドラムサークル(音楽)などがありますし、学生にとってのインターンシップ(ビジネス)もその一つだと思いますし、社外の勉強会などもそうです。

物語の世界で「行きて帰りし物語」というのがありますが、言葉通り、自分が普段属している世界から異世界に「越境」し、一皮剥けて帰ってくることです。ジョセフキャンベルのいうヒーローズジャーニー(英雄の旅)にも「境界線」を超えることが重要なステップとされています。

この境界線を越える際に大切なのが「メンター」の存在です。メンターは、研修におけるファシリテーターに他なりません。ファシリテーターはメンタリングを通じて、参加者(メンティ)の越境を促します。(たまに勘違いがあるのですが、ファシリテーターが越境するのではありません。ファシリテーターが参加者の越境を促すのです。)

異世界の人が異世界の言葉で話すことで成長が促されます。ファシリテーターになる側が越境して、こちらの言葉で話してはこちらの業界の素人の戯言になってしまいます。普通の人は素人の話は聞きたくないと感じるはずです。だからファシリテーターの素養として、異世界の言葉で語るのに徹することが求められます。余計な翻訳は学びを損なうのです。「あなたの居場所ではこう言うでしょ」と解説をした途端に波がさーっと引き、学習が損なわれることがあるので、答えの押しつけによる失速があることをファシリテーターは理解していなければいけません。

越境は彼我の境界という危うい線の上を往来することです。この境界線に居続ける努力を怠るとファシリテーターは両方に詳しいただの人になり、越境を促せなくなってしまいます。

私が開発の話をすると面白がってもらえます。それは、越境を促しているからであって、それはきっと僕の話そのものが面白いのではありません。彼らが越境した先の異世界である僕の世界には転移するに足るものが存在していて、そこに発見があるからなのだと感じました。人はわからないことを理解しようとする中に発見があるものです。

私自身、知れば知るほど話したくなりますし、それは誰にでもあることですので、話したい気持ちを律する精神力は越境させる側には不可欠だと思いました。結局、ファシリテーターにも学習を促すスキルは求められるのですよね。その辺の専門家が越境学習をやろうと思っても容易にはできないのは、学習を促すスキルの差なのかもしれません。ファシリテーターの仕事は参加者の仕事に異世界の知見を転移させることなのです。

よって、だからこそ越境を促す仕事でお金を頂くのは大変だと感じました。誰もが他者からみたら少なからず異世界の人です。つまり石ころと同じです。それをダイアモンドに見せるためにはブランディングしないといけないのです。これは大変だと思いました。逆に、越境学習の良し悪しを見抜くのも顧客の立場としては難しいと感じます。

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