分からない気持ちが分からない-ホウレンソウと段取りの関係- | カレイドソリューションズ

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分からない気持ちが分からない-ホウレンソウと段取りの関係-

最近、若手向けの研修に講師として携わることが増えてきています。弊社は1泊2日の研修などではなく、毎週1回短時間の研修を中期にわたり継続するといスタイルの研修を中心に行っているので、参加者の方とゆっくり話をする機会が多く得られます。最近、ホウレンソウについて興味深い知見が得られたので、今回はそれについて記載したいと思います。

「ホウレンソウは徹底しなさい」

これは、どの会社の新入社員も繰り返し聞かされている文句だと思います。しかし、繰り返し聞かされている文句であるにも関わらず、現場の上司からは、「最近の若手はホウレンソウが・・・」という声がしきりに出てしまうほど、徹底できないものがホウレンソウのようです。この問題について、先日徹底的に掘り下げる機会がありました。

なぜホウレンソウができないのかということを掘り下げたのですが、参加者から以下の発言がみられました。

  1. 「何を」ホウレンソウすべきか分からない
  2. 上司が忙しそうで話しかけられない
  3. 最初と最後だけホウレンソウをすればいいのではないか

 
この話を聞いて、弊社が解決策だと感じたのは、「段取り」の立て方でした。

  • 大きな仕事を任された段階で、何をどのような手順で作業を進めればよいか分からないままにしている
    (=タスクの洗い出し、計画が作れていない)
  •  

  • 洗い出したタスクごとの報告ができていない
    (=上司は中間成果が全く見えないのでいらいらしている。)

といった諸問題があり、この段取りをきちんと立てられるようにしただけで、上司と部下のコミュニケーションの絶対量が増え、最後のアウトプットをみて、びっくり仰天というのもなくなり、自然と仕事がうまくいくようになったとのフィードバックを頂くことができました。(上司に話しかけられないというのについては別な方法で解決しました。)

しかし、なぜこのような単純なことができていないのでしょうか。それは、「上司」という属性がこの問題が解決できない原因なのではないかと思います。当然ながら、「上司」になっている社員というのは、会社から一定の優秀さがあると認められた人々です。となると、若手のうちから頭角を現していた可能性が高いと考えられます(日本はできないレッテルを貼られるとなかなか出世できないですので)。なので、自分の部下たちがどこで躓いているのかということが分からないのです。分からないことは当然頭の中で体系化されていないので、教えることができません。なので、上司ができていて当たり前と感じることを、部下ができていないことへの苛立ちにつながり、問題が発生するのです。

上司の方々には、若手社員にこのようなことを細かく教えることは、手取り足取り過ぎるかのように感じられるかもしれません。しかし、この手取り足取りをやってあげるだけで、大きく仕事のパフォーマンスと職場の雰囲気は変わってきます。

やや蛇足ですが、以前、「キャリア」を考える研修を出世だけでなく、いろいろな自己実現の仕方があるという研修をしたいという人事の方にお話を聞きました。研修自体は、かなりよい企画ができているようなのですが、上司の承認がとれないとのことでした。それもそのはず。上司である人事部長は、出世というパラダイムの中で勝ち残ってきた方である場合がほとんどです。なので、それ以外の自己実現の仕方を教えることに強い必然性を感じないわけです。おそらくこのようなケースはそこら中にあるのではないでしょうか。もしかしたら、このような観点から考えることで解決できることもあるのではないかと最近感じています。

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