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ニューワールドカークパトリックモデル

これまでのカークパトリックモデルは、私のように体験型研修を扱うものに使いにくいものでした。このため、HRカンファレンス2014にて体験型研修の効果測定についてお話しする際には、有名な「カークパトリックモデル」を批判的に見てみようと思っていたのですが、ニューワールドカークパトリックモデルが息子夫婦によって刷新されていました。ニューワールドカークパトリックモデルは動的研修をその範囲に含め、大きく使い勝手がよくなっています。

今回はニューワールドカークパトリックモデルについて記載します。

カークパトリックモデルでは、研修の段階を以下のようにわけています。

  • 反応(Reaction)
  • 学習(Learning)
  • 行動(Behavior)
  • 結果(Result)

ニューワールドカークパトリックモデルでも、大枠は変わらず、内容に追加がなされていました。

反応

これまで「反応」は、研修後のアンケートで確認されていました。「満足度」を取ることが多かったのではないでしょうか。満足度はハッピースコアとも呼ばれ、満足することがビジネスにおいて何にもつながらないという批判があり特にビジネスゲームはゲームで楽しいから満足度は高いけれども。。。それ以外はどうなの?という状況にありました。

新たに以下の2つの項目が追加されていました。

  • その研修に主体的に参加できたと感じるか(研修への参加度合)
  • 職場で活用の場が想定できるか(活用イメージ)

新しい2項目が加わり、研修への参加度合と活用イメージの両方が測定可能になります。アンケートにこの項目を2つ加えるだけでアンケートの質はぐっと変わりそうです。

学習

学習というと、教育学者ブルームのKSA(知識・スキル・態度)の3つを測定するのが主流でした。多くの場合、「テスト」によって確認されていました。
今回、「態度」の説明に新しい項目「重要性の認知」が加わりました。
「○○することが大切だと分かったか」というのはこれまではアンケートの項目に入っていませんでした。
です。「○○することが大切だと分かった」というのはこれまでは項目に入っていませんでした。

ビジネスゲームは知識習得を目的としていなかったり、スキル学習でもなかったりしますので、評価しにくいといわれていました。ビジネスゲームでは、視座の変化などを効率的に行うことができますが、「態度」のカテゴリに入るかというと微妙なところでした。これにより、学習項目ごとの重要性認知をアンケート項目に加えることが可能になり、事後のテストによらず、アンケートで確認を取ることができるようになりました。

更に、「コミットメント」と「自信」という新しい要素が2つ加わりました。

  • 職場で学んだことを使ってみたいか(コミットメント)
  • できる自信があるか(自信)

です。

コミットメントは前述の「活用の場が想定できるか」と重なりますが、活用の場が想定できるけれどもやりたくないということが当然ありますので、異なる項目として扱います。

自信は、やってみたら「できる自信がある」かということです。これも、「やりたいけどできそうもない」ということが現実にはありますので、加わったことでよりわかりやすくなりました。

ここまでをまとめます。

  • 研修に満足したか(満足度)
  • その研修に主体的に参加できたと感じるか(研修への参加度合)
  • 職場で活用の場が想定できるか(活用イメージ)
  • 職場で学んだことを使ってみたいか(コミットメント)
  • できる自信があるか(自信)
  • ○○することが大切だと分かったか(重要性認知)※複数項目

というのがアンケートの基本的な構造になります。

行動

カークパトリックモデルでは、現場の上司や同僚が、研修後の行動を観察するという方法がとられており、これには現場の研修への協力度合いがまちまちだったり、上司や同僚に負荷がかかるため、あまり徹底がなされておらず、反応・学習と比べてがくっと実施度合いがさがっていました。
前述の

  • 職場で活用の場が想定できるか(活用イメージ)

が加わったことで、行動についてもある程度の把握がアンケートでできるようになりました。

人が「行動」を行うときは誘因と動因が重なったときです。やりたいと思ったところでそれを促す仕組みが職場になく、「研修は研修。職場のこれまでのやり方を変えるな」という暗黙の了解があれば、行動にはつながりません。その研修「以外」の環境を扱うようになったようで、その点でHPI(human performance improvement)の視点が入ってきたように思います。研修とは、解決策ではなく、あくまで「介入(インターベンション)」にすぎません。介入を行うことによって、研修ではなく職場に問題があることがわかることもあります。

「研修に満足し、主体的に参加でき、やりたいという気持ちになり、力がついたと感じ、活用イメージが持てている」、つまり学習目標は達成できているにも関わらず、行動が出てこないのであれば、それは研修要因ではなく、職場要因なので、切り分けなければならないのです。

結果

最後に、「結果」です。これもかつては業績を測定するような話があり、研修以外の業績への要因もある中では因果関係が測定できないという批判がありました。行動計画書や行動の結果の測定を3か月後に行うといった手法がよく採用されていましたが、これにも批判が多くみられました。

ここにもメスが入っています。行動があれば、何らかの形で結果がでます。(成果ではなく結果だという点には注意が必要です。失敗という結果もあります。)

研修の3か月後に行動している人は、その手前の研修の1か月後にも行動しているし、1日後から何らかの行動の兆候が見えるものです。長期で測定するというのは、煩雑で活用に耐えるものではありませんでした(上司が部下の3か月前の研修内容を記憶し、日々行動観察をするというのは現実的ではないでしょう。)しかし、研修が終わった直後の短期間の「兆候」の測定であれば可能です。結果を「兆候」ととらえなおしたのが非常に画期的だと感じました。

ちなみに、本コラムは、先日、HRカンファレンス2014にて体験型研修の効果測定についてお話をする際に発見したことをベースに書いたものです。

HRカンファレンスでの投影スライドについては以下を参照ください。

https://www.slideshare.net/kaleidosolutions/hr2014-35024203

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