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ありふれた研修ツールが一切使えなくなったことについて(2)

定番研修すら希少品になったコロナ禍

コロナ禍では、かつてコモディティであったものにも希少性がでてきました。

定番の研修には、全員で議論する際に配布物を配り、書き込むものがあります。かつては、紙さえあれば、誰でも講師ができたものです。しかし、集合して紙を使うオフライン研修はコロナ禍の今はなかなかやりにくなりました。紙を配布したり集合できなくなったことでありふれたワークですら実施できなくなりました。時折出社するという会社であれば、会社から紙を持ち帰るというのもありでしょう。

当社のお客様では「完全リモート」で出社がほとんどなくなったという会社があり、会社に行って印刷することが難しく、かつ印刷物の宅配も業務量的に難しいという会社もあります。こうした環境の会社では、ネットに落ちているコモディティのようなオフライン研修(使って良いものかはきちんと著作権法や提供者のポリシーに照らす必要があります)であっても実施困難という状況があります。

こうして、オンライン版はコモディティではなくなっている会社があるのです。コモディティでないのであれば、提供すべきという考え方になります。

定番研修と思っていたものは定番ではなかった

次に、新しい学びについてです。有り体にいえば、ネタバレに関することです。雑誌「企業と人材」に寄稿した際に、コンセンサス実習の構造について整理を行いました。ここでは、その延長線で、定番研修の例として「NASA」が開発したとされる月面を舞台にしたワーク(コンセンサス実習)について例示します。

定番と思われている月面を舞台にしたのワークは、私も研修業界に飛び込んだ2003年頃にやったことがありますが、実はNASAが開発したものとそのワークは同じではなかったという笑い話があります。もともとはNASAが配っていたのかもしれませんが、現在NASAが公開しているものとは異なっていて、どこかの会社が改変して作ったものだったんです。2003年頃ですので、まだコンプラ的にも厳しくない時代だったのでしょう。

先日、執筆にあたって整理したところ
●NASAの現行版(日本語のものはない)
●月面での遭難もしくは月面に着陸したらどうするか版(原典とは異なるどこかの会社が自作したもの)
 ●それにパワポをつけているもの
 ●それにテーマを載せ替えているもの
 ●それをオンライン化しているもの
 ●それをyoutube化しているもの
などがあることがわかりました。(当社の調査によるものなので、間違っていたらご指摘ください)

また、整理によって、NASAの現行版ではない、コンセンサス実習の定番の進め方である「正解」と「グループとしてのコンセンサス」、「個人の結果」を比較する手法は、NASAの原典とは異なることがわかりました。
更に、選択するツールの種類や、専門家の見解も異なることがわかりました。
(NASA版ではないものは、NASAの科学者が説明しているといいながら、そのソースがわからないものが多いのも問題点として指摘されています。)

NASA版には、正解がありません。「意見の異なる」複数の専門家の見解があるのみで、それぞれとどの程度近いかを可視化して考えるものです。
これは当然ですよね。現実には様々な意見があり、正解がないのです。

これによってわかったことは、原典は極めて普及率が低くてネタバレしておらず、かつ正解はなくて妥当解しかないため答えをご存知の方は少ないことです。

知財について

こうなると、クリアしなければならないのは知財です。知財についても、各所に確認しました。NASAのポリシーについても調査、確認しました。(ご興味のある方は上記のNASAのサイトでポリシー(英語)が見つかります。探すとJAXAが和訳したサイトも見つかりますので、そちらも御覧ください。)NASA版のワークには著作権がありますが、米国のNASAの名称を商標に入れたり、NASAの後援を示さなければ比較的自由に利用ができることがわかりました。利用について個別に許認可を行うこともないそうです(これは、改変版が多い理由でもあると思います)。また、最も厳しく禁じられていることは、NASAの名称を商標に入れることだということもわかりました。逆に言えば、上記の部分をクリアしていれば比較的柔軟に利用させていただけそうです。

このように、当社のポリシーに照らして、色々と検討した結果、「オンラインであれば」「知財の問題さえ解消できれば」新しい学びを提供できそうだとわかりました。当社のポリシーに関わる事項がすべて解消したため、当社はNASAが提供している実習のうち、2つをオンライン化させていただくことにしました。ご提供時期は、リソーシズ第三弾ラインナップ公開時にお伝えいたします。ちなみに、もう90%は出来上がっておりますので、リソーシズのご契約をお持ちのお客さまはテストいただけますので、おっしゃってください。

1つが、コンセンサス実習「開拓1607」。1607年に「ジェームズタウン」に入植した際に大勢が亡くなった厳しい環境での生存を扱うものです。
こちらには、現地で史料が数多く残る、バージニア州のコロニアル国立歴史公園のレンジャーと現地のスーパーバイザーが知見者として見解を示しています。
もう1つが、コンセンサス実習「the Moon」。2025年での「月」での生存を扱うコンセンサス実習です。これには、NASAの科学者2名の見解が示されます。

この2コンテンツは、当社のリソーシズの契約企業様であれば無料でご利用いただけます。「コンセンサス実習、オンラインになってしまってからできなくなってしまったなぁ」とお考えの企業さまはぜひご活用いただければと思います!ちなみに、学校及びインターンで利用しないポリシーについては変更ございません。また、こちらのオフライン版についてはご用意がございません。

なお、この議論によって、リリースできるようになったものは他にもあります。今後も鋭意開発を進めていきますので、楽しみにしていてください。

ありふれた研修ツールが一切使えなくなったことについて(1)

リソーシズ第三弾ラインナップとなる予定の「the Moon」と「開拓1607」を紹介します!

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